動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号、以下「法」とする)で定められている「法的に正しい」動物の飼い方について見ています。
逸走防止
飼育動物の逸走には次のようなリスクがあります。
・動物の健康や安全のリスク…飼育動物の中には、野外で自力で生活していくことが困難な個体もいます。安全な家庭内の環境に慣れた動物は警戒心が薄く、野生の捕食動物に襲われることもあります。また人馴れしていている動物は人に連れ去られ虐待等を受けるおそれもあります。野外環境や野生生物から病原体が暴露するおそれもあります。
・人や財産への危害のリスク…逸走した動物が人やペットを咬んだり、物品を破壊したりすることがあります。
・生活環境の悪化…逸走した動物の排泄物や食べ散らかした食料などにより、周辺の生活環境が悪化するおそれがあります。
・生態系の攪乱…逸走した動物が野生生物を捕食したり、野生生物と食料を奪い合うことにより、本来の生態系を攪乱するおそれがあります。また野外に存在しない病原体を拡散させ、野生生物に感染させるおそれもあります。
また動物に繁殖制限措置が施されていない場合、野外で繁殖してしまい個体数が増加することによりそのリスクが増大します。法第7条第3項ではこう規定されています。
3 動物の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有する動物の逸走を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
具体的な措置については、「第7条の基準」で定められています。例えば家庭動物等の場合「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号)ではこう定められています。
7 逸走防止等
所有者等は、次の事項に留意し、家庭動物等の逸走の防止のための措置を講ずるとともに、逸走した場合には、自らの責任において速やかに捜索し捕獲すること。
(1) 飼養施設は、家庭動物等の逸走の防止に配慮した構造とすること。
(2) 飼養施設の点検等、逸走の防止のための管理に努めること。
(3) 逸走した場合に所有者の発見を容易にするため、マイクロチップを装着する等の所有明示をすること。
(2)以外は努力義務ではない点について注意が必要です。つまり「逸走防止に配慮した飼養施設」「動物の所有明示」「逸走時の自己責任による捕獲」については飼い主の義務とされています。