動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号、以下「法」とする)で定められている「法的に正しい」動物の飼い方について見ています。
終生飼養
法第7条第4項では、動物の「終生飼養」について定められています。
4 動物の所有者は、その所有する動物の飼養又は保管の目的等を達する上で支障を及ぼさない範囲で、できる限り、当該動物がその命を終えるまで適切に飼養すること(以下「終生飼養」という。)に努めなければならない。
「終生飼養」とは必ずしも特定の人物が動物の最期を看取らねばならないというわけではなく、動物の相続や譲渡も含むと解されます。
飼い犬や飼い猫の引取り拒否の根拠
終生飼養との整合性を図る観点から、法第25条では飼い犬や飼い猫の引取り拒否規定が定められています。
第三十五条 都道府県等(都道府県及び指定都市、地方自治法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「中核市」という。)その他政令で定める市(特別区を含む。以下同じ。)をいう。以下同じ。)は、犬又は猫の引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなければならない。ただし、犬猫等販売業者から引取りを求められた場合その他の第七条第四項の規定の趣旨に照らして引取りを求める相当の事由がないと認められる場合として環境省令で定める場合には、その引取りを拒否することができる。
「環境省令で定める場合」は「動物の愛護及び管理に関する法律施行規則」(平成十八年環境省令第一号)第21条の2で定められています。
第二十一条の二 法第三十五条第一項ただし書の環境省令で定める場合は、次のいずれかに該当する場合とする。ただし、次のいずれかに該当する場合であっても、生活環境の保全上の支障を防止するために必要と認められる場合については、この限りでない。
一 犬猫等販売業者から引取りを求められた場合
二 引取りを繰り返し求められた場合
三 子犬又は子猫の引取りを求められた場合であって、当該引取りを求める者が都道府県等からの繁殖を制限するための措置に関する指示に従っていない場合
四 犬又は猫の老齢又は疾病を理由として引取りを求められた場合
五 引取りを求める犬又は猫の飼養が困難であるとは認められない理由により引取りを求められた場合
六 あらかじめ引取りを求める犬又は猫の譲渡先を見つけるための取組を行っていない場合
七 前各号に掲げるもののほか、法第七条第四項の規定の趣旨に照らして引取りを求める相当の事由がないと認められる場合として都道府県等の条例、規則等に定める場合
終生飼養が飼い主の努力義務とされている以上、飼い主は動物を飼い続ける(もしくは譲渡する)ための最大限の努力をしなければならないというわけです。ただしこの規定は引取りを拒否することが「できる」のであって、拒否「しなければならない」わけではありません。ここを勘違いしている公務員が意外に多いのです。動物をその飼い主の元に置くことによってかえって動物福祉が損なわれるおそれがあると判断されれば、積極的に引取るべきだと私は考えています。