動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号、以下「法」とする)および「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号、以下「基準」とする)で定められている「法的に正しい」動物の飼い方について見ています。
健康及び安全の保持
「基準」は「第1 一般原則」「第2 定義」(「定義」についてはすでに解説しましたので割愛します)に続き、「第3 共通基準」に入ります。ここでは動物種を問わず、家庭等で動物を飼う際の基準が定められています。その最初は「健康及び安全の保持」、言い換えれば動物福祉に関する事項です。動物は単に餌と水を与え生かしておけばよいというものではないということです。「基準」にはこう書かれています。
所有者等は、次の事項に留意し、家庭動物等の種類、生態、習性及び生理に応じた必要な運動、休息及び睡眠を確保し、並びにその健全な成長及び本来の習性の発現を図るように努めること。
この条文は動物福祉の「5つの自由」、すなわち「飢えや渇きからの自由」「不快からの自由」「痛み、障害、または疾病からの自由」「通常の行動を発現する自由」「恐怖や苦痛からの自由」を要約したものといえます。具体的には次のように定められています。
適切な給餌及び給水
(1) 家庭動物等の種類、発育状況等に応じて適正に餌(えさ)及び水を給与すること。
健康管理と適切なしつけ
(2) 疾病及びけがの予防等の家庭動物等の日常の健康管理に努めるとともに、疾病にかかり、又は負傷した家庭動物等については、原則として獣医師により速やかに適切な措置が講じられるようにすること。みだりに、疾病にかかり、又は負傷した動物の適切な保護を行わないことは、動物の虐待となるおそれがあることを十分認識すること。また、家庭動物等の訓練、しつけ等は、その種類、生態、習性及び生理を考慮した適切な方法で行うこととし、みだりに、殴打、酷使すること等は、虐待となるおそれがあることを十分認識すること。
飼養施設の設置と飼養環境の維持
(3) 所有者等は、適正な飼養及び保管に必要なときは、家庭動物等の種類、生態、習性及び生理を考慮した飼養及び保管のための施設(以下「飼養施設」という。)を設けること。飼養施設の設置に当たっては、適切な日照、通風等の確保を図り、施設内における適切な温度や湿度の維持等適切な飼養環境を確保するとともに、適切な衛生状態の維持に配慮すること。
ここでいう「家庭動物」は、家庭や学校などで飼われている哺乳類・鳥類・爬虫類のすべてを指しますので、具体的な一律基準を定めることは困難です。動物福祉に基づく適切な飼養管理のためには、飼い主がその動物の飼養管理についてきちんと学びそれを身に付けることが必要です。