動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号、以下「法」とする)および「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号、以下「基準」とする)で定められている「法的に正しい」動物の飼い方について見ています。
生活環境の保全
ペットの飼い主の責務として「ペットの動物福祉の担保」の次にあげられているのが「生活環境の保全」です。ペットのトラブルとして最も多いのが、ペットによる「迷惑行為」や排泄物等による生活環境の汚染です。また生活環境の汚染はペット自身の健康上の問題を招きます。
ペットによる「迷惑行為」の防止
ペットによる「迷惑行為」の防止について、「基準」ではこう定められています。
(1) 所有者等は、自らが飼養及び保管する家庭動物等が公園、道路等公共の場所及び他人の土地、建物等を損壊し、又はふん尿その他の汚物、毛、羽毛等で汚すことのないように努めること。
私が「迷惑行為」と括弧書きで表現しているのは、これらの行為はペット自身が迷惑をかけようとして行っていることではなく、飼い主の管理不足により結果的に周辺に迷惑をかけているというニュアンスを表現するためです。
周辺生活環境の保全
ペットの飼養場所やその周辺の生活環境を保全することには、周囲への迷惑防止の観点もありますが、動物福祉の一環という側面もあります。「基準」ではこう定められています。
(2)所有者等は、自らが飼養及び保管する家庭動物等を、みだりに、排せつ物の堆積した施設又は他の動物の死体が放置された施設であって自己の管理するものにおいて飼養及び保管することは虐待となるおそれがあることを十分認識し、家庭動物等のふん尿その他の汚物、毛、羽毛等の適正な処理を行うとともに、飼養施設を常に清潔にして悪臭、衛生動物の発生の防止を図り、周辺の生活環境の保全に努めること。
「周辺の生活環境が損なわれている」とはどのような状態を指すのか、法第25条第1項にはこう規定されています。
都道府県知事は、動物の飼養、保管又は給餌若しくは給水に起因した騒音又は悪臭の発生、動物の毛の飛散、多数の昆虫の発生等によつて周辺の生活環境が損なわれている事態として環境省令で定める事態が生じていると認めるときは、当該事態を生じさせている者に対し、必要な指導又は助言をすることができる。
この条文は、飼い主が「必要な指導または助言」に従わない場合、措置勧告や措置命令も可能な強い規定になっていますが、そのぶん要件が厳しく適用は難しいです(通常、決裁の途中のどこかで「待った」がかかります)。しかしペットの不適切な管理によって周辺の生活環境が損なわれていると職員が判断すれば、「基準」の不履行として飼い主に指導することは可能です。