動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号、以下「法」とする)および「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号、以下「基準」とする)で定められている「法的に正しい」動物の飼い方について見ています。
適正な飼養数
「基準」では飼い主の責務として、「適正な飼養数」の維持が定められています。
所有者等は、その飼養及び保管する家庭動物等の数を、適切な飼養環境の確保、終生飼養の確保及び周辺の生活環境の保全に支障を生じさせないよう適切な管理が可能となる範囲内とするよう努めること。また、適切な管理を行うことができない場合、虐待となるおそれがあることを十分認識すること。
何をもって「適正な飼養数」とするかは飼養環境や動物種などによって異なりますが、動物の飼養に起因して何らかの問題が生じているのであれば、それは「適正な飼養数」を超えているといえます。
「適正な飼養数」超過で生じる問題
「適正な飼養数」を超えることによってどのような問題が生じるかについては、環境省の「人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン~社会福祉と動物愛護管理の多機関連携に向けて~」(令和3年、以下「ガイドライン」とする)における「多頭飼育問題」の定義が参考になります。「ガイドライン」においては、「多頭飼育問題」を「多数の動物を飼育しているなかで、適切な飼育管理ができないことにより、下記の3つの影響のいずれか、もしくは複数が生じている状況」と定義しています。「3つの影響」とは「飼い主の生活状況の悪化」「動物の状態の悪化」「周辺の生活環境の悪化」を指します。
①飼い主の生活状況の悪化
・動物の世話が行き届かなくなることによる生活環境の悪化や健康状態の悪化
・飼養コスト増大による経済状況の悪化、それに伴うQOLの悪化
・周辺の人間関係の悪化
②動物の状態の悪化
・ストレスや飼養環境悪化などによる健康状態の悪化(放置するとネグレクトに該当)
・ネグレクトとまではいえない不適切飼養
・人間とのふれあい不足により、伴侶動物として人間との関係が築けない
③周辺の生活環境の悪化
・悪臭や騒音など生活環境の悪化
・病原体の蔓延
・動物の家屋への侵入や咬傷など生活安全上の問題