「法的に正しい」ペットの飼い方(13)  動物の輸送

動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号、以下「法」とする)および「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号、以下「基準」とする)で定められている「法的に正しい」動物の飼い方について見ています。

 

動物の輸送

「動物の輸送」というと大げさですが、旅行や引っ越し、または通院など、家庭動物を移動させる機会は意外にあるものです。「基準」では動物の輸送についてこう定められています。

 

所有者等は、家庭動物等の輸送に当たっては、次の事項に留意し、動物の健康及び安全の確保並びに動物による事故の防止に努めること。

(1) 家庭動物等の疲労及び苦痛をできるだけ小さくするため、なるべく短い時間による輸送方法を選択するとともに、輸送時においては必要に応じ適切な休憩時間を確保すること。

(2) 家庭動物等の種類、性別、性質等を考慮して、適切に区分して輸送する方法をとるとともに、輸送に用いる容器等は、動物の安全の確保及び動物の逸走を防止するために必要な規模及び構造のものを選定すること。

(3) 輸送中の家庭動物等に適切な間隔で給餌及び給水するとともに、適切な温度、湿度等の管理、適切な換気の実施等に留意すること。

 

輸送時間

一般的に動物を輸送する際の健康や福祉のリスクは、輸送時間に比例して増大します。そのため動物を輸送する際には、極力輸送時間を短くすることに留意すべきです。どの程度の輸送時間が妥当かという目安については、動物種や健康状態などによって異なるので一律に示すことは困難です。一つの目安として、米国ASV(シェルター獣医師会)の“The Association of Shelter Veterinarians’ Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters”(第2版)で示されている、犬や猫の輸送についてのガイドラインをお示しします。

 

・1日の輸送時間は、12 時間を超えてはならない。

・動物の積み込み及び積み下ろしはそれぞれ1時間を超えてはならない。

・移動時間が 12 時間を超える場合は、途中で宿泊しなければならない。

・合計輸送時間(輸送時間と積み込み、積み下ろしの時間を合計したもので、宿泊休憩の時間を除く)は28時間を超えてはならない。

 

輸送時の注意点

犬や猫を輸送する際には乗り物酔いを起こす可能性があるので、輸送時間を極力短くするとともに、酔い止め薬の投与などの対策が必要です。特に幼齢動物や老齢動物、健康状態に問題がある動物の場合、輸送時のストレスや温度管理などに十分に留意し、場合によっては輸送を回避することも必要です。