「法的に正しい」ペットの飼い方(15)  緊急時対策

動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号、以下「法」とする)および「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号、以下「基準」とする)で定められている「法的に正しい」動物の飼い方について見ています。

 

緊急時対策

「基準」では、動物の飼い主等の緊急時対策についてこのように定めています。

 

所有者等は、関係行政機関の指導、地域防災計画等を踏まえて、地震、火災等の非常災害に際してとるべき緊急措置を定めるとともに、避難先における適正な管理が可能となるための移動用の容器、非常食の用意等、避難に必要な準備を行うよう努めること。非常災害が発生したときは、速やかに家庭動物等を保護し、及び家庭動物等による事故の防止に努めるとともに、避難する場合には、できるだけ同行避難及びその家庭動物等の適切な避難場所の確保に努めること。

 

ここではざっくりと書かれているので、少し補足します。

 

地域防災計画とは

災害時に行政機関が対応する法的根拠は「災害対策基本法」(昭和三十六年法律第二百二十三号)です。その規定により、内閣府の「中央防災会議」が「防災基本計画」を作成し(34条)、それに基づき各省庁が「防災業務計画」を作成します(36条)。各都道府県(40条)や各市町村(42条)は「防災基本計画」に基づき「地域防災計画」を作成しますが、その際には「防災業務計画」を参考にし、抵触しないようにしなければなりません。

 

人とペットの災害対策ガイドライン

平成26年に、「防災基本計画」の中にペットとの同行避難や避難所へのペットの受入れといった事項が追加されました。また環境省の「防災業務計画」の中にも、災害時のペット対策が盛り込まれていて、「地域防災計画」作成の際には、環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」を参照することとされています。前置きが長くなりましたが、ここで言いたいことは動物の飼い主は少なくとも「人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」(https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h3009a.html)の内容を理解しておく必要があるということです。

 

同行避難

「同行避難」とは、災害発生時に飼っているペットとともに避難所まで移動することを指します。災害時にペットとはぐれてしまうことには、飼い主のメンタル面のリスクのほか、動物が放浪し適切な飼養管理を受けられないというリスクもあります。なお被災者が避難所でペットを飼養管理することは「同伴避難」といい、「同行避難」とは区別されます。「家庭動物等の適切な避難場所の確保」には、同伴避難が可能な避難所をあらかじめ把握しておくことや緊急時の預け先の確保、または避難所におけるペットの自主管理などが考えられます。