「法的に正しい」ペットの飼い方(17)  犬の飼養及び保管に関する基準 その1

動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号、以下「法」とする)および「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号、以下「基準」とする)で定められている「法的に正しい」動物の飼い方について見ています。

 

犬の飼養及び保管に関する基準

「基準」は「家庭動物等」に該当する哺乳類、鳥類、爬虫類のすべてを対象としますが、その中でも特に飼養数が多い犬や猫については、特出しで基準が定められています。まず、「法的に正しい」犬の飼い方について見ていきましょう。

 

犬の放し飼いの禁止

原則として犬の放し飼いは禁止ですが、例外もあります。「基準」ではこう定められています。

 

1 犬の所有者等は、さく等で囲まれた自己の所有地、屋内その他の人の生命、身体及び財産に危害を加え、並びに人に迷惑を及ぼすことのない場所において飼養及び保管する場合を除き、犬の放し飼いを行わないこと。ただし、次の場合であって、適正なしつけ及び訓練がなされており、人の生命、身体及び財産に危害を加え、人に迷惑を及ぼし、自然環境保全上の問題を生じさせるおそれがない場合は、この限りではない。

(1) 警察犬、狩猟犬等を、その目的のために使役する場合

(2) 人、家畜、農作物等に対する野生鳥獣による被害を防ぐための追い払いに使役する場合

 

一部の使役犬については、その目的を遂行するために必要な範囲において放すことが認められています。いわゆる使役犬には、ここであげられている警察犬や狩猟犬などのほか、牧羊犬や牽引犬などが含まれます。なお犬の放し飼いについては、各自治体の条例でもっと詳しい規定を定めていることがあります。

 

犬のけい留

「けい留」とは、犬を鎖等につなぎ固定物につなぐことにより管理することをいいます。犬をけい留する際の注意点について「基準」ではこう定められています。

 

2 犬の所有者等は、犬をけい留する場合には、けい留されている犬の行動範囲が道路又は通路に接しないように留意するとともに、犬の健康の保持に必要な運動量を確保するよう努めること。また、みだりに健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させることは虐待となるおそれがあることを十分認識すること。

 

犬をけい留することにより動物福祉上の問題が発生する可能性があるため、虐待にあたらないよう適切な管理が必要です。なお米国では、犬をけい留し放置する行為(無生物に犬をつないだままにする)は虐待とみなされます。日本はまだまだその辺の意識が低いといえます。もちろん、散歩等の際に犬をリードにつなぎ、片方を人間が持つのはOKです。