「法的に正しい」ペットの飼い方(18)  犬の飼養及び保管に関する基準 その2

動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号、以下「法」とする)および「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号、以下「基準」とする)で定められている「法的に正しい」動物の飼い方について見ています。

 

犬の飼養及び保管に関する基準<続き>

 

周囲への迷惑防止

飼い主の責務としての「周囲への迷惑防止」については法にも定められていますし、「基準」にも定められています。ここでは特に犬で問題になる「鳴き声」や「ふん」について念が押されています。

 

3 犬の所有者等は、頻繁な鳴き声等の騒音又はふん尿の放置等により周辺地域の住民の日常生活に著しい支障を及ぼすことのないように努めること。

 

飼い犬の関する苦情で最も多いのが「鳴き声」と「ふんの放置」です。もちろんこれらの対策は飼い主の責務とされていますから、保健所等は飼い主に指導しなければなりません。しかし鳴き声についてはその感じ方には個人差がありますし(多くの場合、隣人との関係性に依存する)、ふんを放置した飼い主の特定もなかなか難しいため、指導には骨が折れます。

 

犬のしつけと訓練

飼い犬のしつけについても、飼い主の責務とされています。「基準」ではこう定められています。

 

4 犬の所有者等は、適当な時期に、飼養目的等に応じ、人の生命、身体及び財産に危害を加え、並びに人に迷惑を及ぼすことのないよう、適正な方法でしつけを行うとともに、特に所有者等の制止に従うよう訓練に努めること。

 

「適正な方法」とは?

かつて、犬が飼い主の指示に従わないのは犬が飼い主よりも上位であると認識している(いわゆる「アルファ・シンドローム」)からという理論があり、飼い主が上位であることを犬に認識させるために物理的な罰を与えるという「しつけ」が行われていました。しかし現代ではそれは誤りであるとされています。現代において犬のしつけの「適正な方法」とは、学習理論に基づく方法、つまり「古典的条件付け」「オペラント条件付け」「系統的脱感作」「拮抗条件付け」といった方法を用いて、望ましくない行動の出現率を減らしつつ、望ましい行動の出現率を高めていくことです。具体的な方法については専門家に相談するか、もしくは自治体や民間団体が実施している「犬のしつけ方教室」などで学んでいただくことになります。

 

犬の散歩

犬を屋外で運動させる際の注意事項についても「基準」で定められています。

 

5 犬の所有者等は、犬を道路等屋外で運動させる場合には、次の事項を遵守するよう努めること。

(1) 犬を制御できる者が原則として引き運動により行うこと。

(2) 犬の突発的な行動に対応できるよう引綱の点検及び調節等に配慮すること。

(3) 運動場所、時間帯等に十分配慮すること。

(4) 特に、大きさ及び闘争本能にかんがみ人に危害を加えるおそれが高い犬(以下「危険犬」という。)を運動させる場合には、人の多い場所及び時間帯を避けること。