「法的に正しい」ペットの飼い方(19)  犬の飼養及び保管に関する基準 その3

動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号、以下「法」とする)および「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号、以下「基準」とする)で定められている「法的に正しい」動物の飼い方について見ています。

 

犬の飼養及び保管に関する基準<続き>

 

「危険犬」の管理について

人に危害を加えるおそれがある、いわゆる「危険犬」の管理について、「基準」ではこのように定められています。

 

6 危険犬の所有者等は、当該犬の行動を抑制できなくなった場合に重大な事故を起こさないよう、道路等屋外で運動させる場合には、必要に応じて口輪の装着等の措置を講ずること。また、事故を起こした場合には、民事責任や刑事責任を問われるおそれがあることを認識すること。

 

民法第718条ではこう規定されています。

 

動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。

 

また刑法209条ではこう規定されています。

 

過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。

 

なお自治体によっては、人に危害を加えるおそれがある犬や、咬傷事故を起こすと重大な問題になる可能性がある犬などを「特定犬」と定義し、管理方法について定めているところもあります。

 

譲渡の取り組み

「終生飼養」が飼い主の責務ではありますが、やむを得ず飼養できなくなった場合の譲渡の取り組みについて、「基準」ではこう定められています。

 

7 犬の所有者は、やむを得ず犬を継続して飼養することができなくなった場合には、適正に飼養することのできる者に当該犬を譲渡するように努めること。なお、都道府県等(法第 35 条第 1 項に規定する都道府県等をいう。以下同じ。)に引取りを求めても、終生飼養の趣旨に照らして引取りを求める相当の事由がないと認められる場合には、これが拒否される可能性があることについて十分認識すること。

 

子犬の譲渡について

離乳前の子犬の譲渡について、「基準」ではこう定められています。

 

8 犬の所有者は、子犬の譲渡に当たっては、特別の場合を除き、離乳前に譲渡しないように努めるとともに、法第 22 条の5の規定の趣旨を考慮し、適切な時期に譲渡するよう努めること。また、譲渡を受ける者に対し、社会化に関する情報を提供するよう努めること。

 

「法第22条の5の規定」とは、生後56日以内の犬や猫の販売を禁止する、いわゆる「8週齢規制」のことです。この規定は、いわゆる「社会化期」の子犬や子猫は親や兄弟と過ごすべきという趣旨で設けられているものですので、譲渡に際してもその趣旨を尊重すべきです。