「法的に正しい」ペットの飼い方(20)  猫の飼養及び保管に関する基準 その1

動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号、以下「法」とする)および「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号、以下「基準」とする)で定められている「法的に正しい」動物の飼い方について見ています。

 

猫の飼養及び保管に関する基準

猫に関しても、「基準」で特出しの規定が設けられています。犬と異なり、猫は慣例的に外飼いが広く行われているため、外飼いについての規定が設けられています。

 

周辺への迷惑防止

猫の適切な飼養の最初は、周辺への迷惑防止から始まります。

 

1 猫の所有者等は、周辺環境に応じた適切な飼養及び保管を行うことにより人に迷惑を及ぼすことのないよう努めること。

 

屋内飼養

「基準」には、猫の屋内飼養が飼い主の努力義務として定められています。猫の屋外飼養は禁じられてはいませんが、周辺への迷惑防止について釘が刺されています。

 

2 猫の所有者等は、疾病の感染防止、不慮の事故防止等猫の健康及び安全の保持並びに周辺環境の保全の観点から、当該猫の屋内飼養に努めること。屋内飼養以外の方法により飼養する場合にあっては、屋外での疾病の感染防止、不慮の事故防止等猫の健康及び安全の保持を図るとともに、頻繁な鳴き声等の騒音又はふん尿の放置等により周辺地域の住民の日常生活に著しい支障を及ぼすことのないように努めること。

 

なお、この規定は外飼いの飼い猫を対象としていて、屋外で飼い主のいない猫を管理する方法については別に定められています。

 

繁殖制限

屋内飼養の猫も当然ながら繫殖制限に努めるべきですが、猫は屋外飼養が(推奨はされていませんが)認められているため、屋外飼養の猫の繁殖制限について強調されています。

 

3 猫の所有者は、繁殖制限に係る共通基準によるほか、屋内飼養によらない場合にあっては、去勢手術、不妊手術等繁殖制限の措置を講じること。

 

屋外飼養の猫の「去勢手術、不妊手術等繁殖制限の措置」は努力義務ではなく、義務であることに注意が必要です。ちなみに「等」には避妊薬の投与や避妊インプラントの埋め込みなどが含まれると考えられますが、費用や副作用の問題もありあまりお勧めできません。そもそも外飼いの猫に、そこまでして繁殖能力を温存させる必要性については疑問が残ります。避妊去勢手術は比較的安全な手術ですので、私は手術による繁殖制限をお勧めします。もちろん屋内飼養の猫についても、繁殖の予定がないのであれば手術が推奨されます。