動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号、以下「法」とする)および「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号、以下「基準」とする)で定められている「法的に正しい」動物の飼い方について見ています。
猫の飼養及び保管に関する基準<続き>
譲渡の取り組み
猫に限らず家庭動物は終生飼養が原則ではありますが、やむを得ず飼えなくなった場合は、飼い主自身が新しい飼い主を見つけて譲渡するよう努めなければなりません。「基準」ではこう定められています。
4 猫の所有者は、やむを得ず猫を継続して飼養することができなくなった場合には、適正に飼養することのできる者に当該猫を譲渡するように努めること。なお、都道府県等に引取りを求めても、終生飼養の趣旨に照らして引取りを求める相当の事由がないと認められる場合には、これが拒否される可能性があることについて十分認識すること。
子猫の譲渡
子猫を譲渡する際には、「社会化期」を親や兄弟とともに過ごし、適切に社会化したのちに譲渡するよう努めなくてはなりません。「基準」ではこう定められています。
5 猫の所有者は、子猫の譲渡に当たっては、特別の場合を除き、離乳前に譲渡しないよう努めるとともに、法第 22 条の5の規定の趣旨を考慮し、適切な時期に譲渡するよう努めること。また、譲渡を受ける者に対し、社会化に関する情報を提供するよう努めること。
なお「法第22条の5の規定」とは、生後56日以内の犬や猫の販売を禁止する、いわゆる「8週齢規制」のことです。
飼い主のいない猫の管理
飼い主のいない猫は「基準」で定義される「家庭動物等」ではありませんが、「基準」においては、飼い主がいない犬や猫についても原則としてこの基準を準用することとされています。飼い主のいない(または不明)犬は「狂犬病予防法」の規定により保健所等が捕獲し抑留する必要がありますが、飼い主のいない猫についてはそのような規定はありません。だからといって飼い主のいない猫を放置することは動物福祉や環境保全等の観点から好ましいことではありませんから、一定の管理が推奨されています。「基準」では、飼い主のいない猫の管理方法として「地域猫対策」が定義されています。
6 飼い主のいない猫を管理する場合には、不妊去勢手術を施して、周辺地域の住民の十分な理解の下に、給餌及び給水、排せつ物の適正な処理等を行う地域猫対策など、周辺の生活環境及び引取り数の削減に配慮した管理を実施するよう努めること。