動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号、以下「法」とする)および「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号、以下「基準」とする)で定められている「法的に正しい」動物の飼い方について見ています。
学校、福祉施設等における飼養及び保管
「基準」で定義される「家庭動物等」には家庭で飼養されるペットのほか、学校や福祉施設等の飼育動物も含まれます。動物を飼育することによる教育効果や癒しの効果を期待し、家庭以外で動物が飼われることもあります。しかし適切に飼養しなければ動物の福祉が損なわれるだけではなく、期待していた教育や癒しの効果が十分に得られないといったことにもなりかねません。そのため、こういった動物についても家庭動物に準じる管理が求められるわけです。
ここで「管理者」とは「情操の涵養及び生態観察のため飼養及び保管されている動物並びにその飼養及び保管のための施設を管理する者」を指します。簡単に言えば「飼育動物および飼養施設の管理者」のことです。「基準」では、管理者に以下のような責務を課しています。
1 管理者は、学校、福祉施設等の利用者が動物の適切な飼養及び保管について正しい理解を得ることができるように努めること。
2 管理者は、動物の飼養及び保管の目的、学校、福祉施設等の立地及び施設の整備の状況並びに飼養又は保管に携わる者の飼養能力等の条件を考慮して、飼養及び保管する動物の種類及び数を選定すること。
3 異種又は複数の動物を同一施設内で飼養及び保管する場合には、その組合せを考慮した収容を行うこと。
4 管理者は、動物の所有者等としての責務を十分に自覚し、動物の飼養及び保管が、獣医師等十分な知識と飼養経験を有する者の指導の下に行われるよう努め、本基準の各項に基づく適切な動物の飼養及び保管並びに動物による事故の防止に努めること。
5 管理者は、学校、福祉施設等の休日等においても、動物の飼養及び保管が適切に行われるよう配慮すること。
6 管理者は、飼養及び保管する動物に対して飼養に当たる者以外の者からみだりに食物等を与えられ、又は動物が傷つけられ、若しくは苦しめられることがないよう、その予防のための措置を講じるよう努めること。
7 管理者は、地震、火災等の非常災害に際しても、動物の飼養及び保管が適切に行われるよう配慮すること。
これらの事項は動物を飼養するのであれば当たり前のことばかりですが、あえて明文化することにより、管理者の責任を明確にしているといえます。