「法的に正しい」ペットの飼い方(23)  自然環境保全への配慮

動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号、以下「法」とする)および「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号、以下「基準」とする)で定められている「法的に正しい」動物の飼い方について見ています。

 

自然環境保全への配慮

「基準」の最後には、自然環境保全への配慮について触れられています。

 

所有者等は、動物の逸走、放し飼い等により、野生動物の捕食、在来種の圧迫等の自然環境保全上の問題が生じ、人と動物との共生に支障が生じることがないよう十分な配慮を行うこと。

 

飼育動物が野に放たれ、それが増えてしまうと在来の野生生物に影響を与え、結果的に駆除しなければならない事態が生じます。これがいわゆる「人と動物との共生に支障が生じる」状態です。人間が飼育している動物の中には、野に放つと生態系に重大な影響を及ぼすといわれている、いわゆる「侵略的外来種」が含まれています。平成27年3月に環境省及び農林水産省が作成した、日本における侵略的外来種を整理した「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」には、本来日本に生息しない野生動物に加え、野生に生息しない飼育動物も含まれています。生態系への影響が大きく、緊急的な対策が必要な「緊急対策外来種」には、「ノネコ(イエネコの野生化したもの)」および「ノヤギ(ヤギの野生化したもの)」が含まれます。「ノネコ」には在来種の捕食や野生動物(特にヤマネコ類)への感染症の伝播といった問題がありますし、「ノヤギ」は在来種の植物を食べたり、草食動物の食料を奪うという問題があります。その他対策が必要な「重点対策外来種」には「カイウサギ(アナウサギ)」「ノイヌ(イヌの野生化したもの)」「ノブタ・イノブタ(ブタ・イノブタの野生化したもの)」が含まれます。

 

準用

「基準」は「家庭動物等」、つまり家庭のペットや学校・福祉施設等の飼育動物が対象ですが、家庭動物等に該当しない犬や猫に限り、「基準」を準用することとされています。「基準」にはこう規定されています。

 

家庭動物等に該当しない犬又は猫については、当該動物の飼養及び保管の目的に反しない限り、本基準を準用する。

 

「家庭動物等に該当しない犬又は猫」とは、例えば保健所や警察などへの一時預かり動物や、譲渡のために保護団体によって飼養されている動物などが含まれます。また飼い主のいない犬や猫も含まれます。なお飼い主のいない猫は「家庭動物等」には該当しませんが、その管理について「基準」で定められていることは前述のとおりです。