環境省の「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン(以下「ガイドライン」)」※から、「地域猫活動」について見ています。
地域猫活動の目的
「ガイドライン」は「地域猫活動」の目的についてこう示しています。
地域猫活動は地域住民と飼い主のいない猫との共生をめざし、不妊去勢手術を行ったり、新しい飼い主を探して飼い猫にしていくことで、将来的に飼い主のいない猫をなくしていくことを目的としています。(「ガイドライン」16ページ)
しかしこれはあくまでも将来的な最終目標であり、後にはこう続けられています。
ただし、実際に数を減らしていくためには、複数年の時間を必要としますので、当面は、これ以上猫を増やさない、餌やりによる迷惑を防止するなどを目的としています。(「ガイドライン」16ページ)
つまり「地域猫活動」は飼い主のいない猫の繁殖や無秩序な餌やりを防ぎながら、将来的には飼い主のいない猫をゼロにしていこうという活動であるといえます。
地域猫活動の考え方
「地域猫活動」が単なる「一部の猫好きの人の活動」ととられてしまうと、地域内で活動が広がっていきません。あくまでも地域環境保全対策であるという認識を広げていく必要があります。「ガイドライン」にはこう記述されています。
地域猫活動は、「猫」の問題ではなく「地域の環境問題」としてとらえ、地域計画として考えていく必要があります。(「ガイドライン」16ページ)
地域猫と野良猫の違い
「地域猫活動」は「TNR活動」を基本としていますが、リターン後の猫を地域で管理していくことに重点が置かれています。「地域猫活動」が地域環境保全対策である以上、これは当然といえます。「ガイドライン」にはこう記述されています。
地域猫は野良猫とは異なります。フード、水やりの場所は決められ、排泄物の処理や周辺の清掃なども行われます。不妊去勢手術が行われることで数が増えることが抑えられます。
地域住民は猫による被害の現状を十分認識し、野良猫を排除するのではなく、地域住民が飼育管理することで、野良猫によるトラブルをなくすための試みであることを理解しなければなりません。(「ガイドライン」16ページ)
飼い猫の遺棄防止
「地域猫活動」を行っている地域には餌場があるため、そこに飼い猫を遺棄すれば安心と考える不届き者が一定数存在します。「地域猫活動」を始めた後に、かえって猫の個体数が増えたという報告もあります。飼い猫の遺棄防止対策は「地域猫活動」の肝であるといえます。「ガイドライン」にもこう記載されています。
同時にこれ以上飼い主のいない猫を増やさないために、飼い猫を捨てることは犯罪になることを周知し、捨て猫の防止を徹底していく必要があります。(「ガイドライン」16ページ)
※ https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2202.pdf