環境省の「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン(以下「ガイドライン」)」※から、「地域猫活動」について見ています。
地域猫活動における役割分担
「ガイドライン」には、実際に「地域猫活動」を行う際の「世話人」「行政」「ボランティア団体」の役割について記載されています。
地域猫の世話をする人(活動の主体)
「地域猫活動」における「世話人」の役割について、「ガイドライン」はこう述べています。
飼い主のいない猫対策に取り組む主体になります。
地域住民のボランティアを中心に、趣旨に賛同したその他の地域住民や地域猫活動に経験を持つボランティア団体などとともに活動を行います。
代表者を決め、グループ、集団で役割分担しながら活動します。(「ガイドライン」16-17ページ)
地域住民が「地域猫活動を始めましょう」と言って有志を募り、地域内の「飼い主のいない猫」探しから始める…などということはまずありません。あるのかもしれませんが、私は聞いたことがありません。多くの場合、野良猫により迷惑を被っている住民からの問題提起により、自治体やボランティアが動き始めることになります。そして野良猫が集まる場所には必ず「餌やり者」がいます。「餌やり者」がそのまま「世話人」になることが望ましいのですが、これまた多くの場合そうはいきません。住民有志やボランティアが「世話人」となり、「餌やり者」を巻き込んで活動していくことになります。
行政
「地域猫活動」における行政の役割について、「ガイドライン」はこう述べています。
地域猫活動の普及啓発をはかります。
地域の対策に沿って必要な支援を行います。
具体的には、活動資金の助成、住民や関係者の連絡調整、ボランティア団体と連携したノウハウの提供、活動グループのネットワーク化、ガイドラインの普及、適正飼育の指導などがあります。(「ガイドライン」17ページ)
行政は「地域猫活動」の後方支援を行います。政令市や中核市など一定規模の市であれば保健所等が一括で対応しますが、小規模の市や町村の場合、技術的支援は保健所等(多くの場合、都道府県職員の獣医師が対応します)、資金の助成や連絡調整などの実務支援は市町村が担当することが多いです。
ボランティア団体
必須ではありませんが、「地域猫活動」のノウハウを持つボランティア団体の支援を受けると、活動がスムーズに進みます。「ガイドライン」ではこう述べられています。
経験があるボランティア団体などに地域住民の相談に応じてもらったり、活動に参入してもらうと効果的な場合があります。(「ガイドライン」17ページ)
地域外のボランティア団体が「地域猫活動」を支援する場合であっても、活動の実施主体は地元住民でなければ、地域内に活動が広がりにくくなります。特に地元住民に「よそ者が勝手なことをしている」というイメージを持たれないよう注意が必要です。
※ https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2202.pdf