環境省の「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン(以下「ガイドライン」)」※から、「地域猫活動」について見ています。
避妊去勢手術
「地域猫活動」は避妊去勢手術(「ガイドライン」では「不妊去勢手術」と表現されています)から始まります。避妊去勢手術は単に猫の個体数を増やさないためだけではなく、繁殖行動に起因する苦情を軽減する効果もあります。「ガイドライン」には避妊去勢手術の意義について、こう記述されています。
地域猫活動に不妊去勢手術は不可欠です。性成熟する前(生後6ヶ月頃)に、オス、メスともに行うことが望まれます。飼い主のいない猫の寿命は4~5年と言われています。このため、地域の全ての飼い主のいない猫に不妊去勢手術を行えば、不幸な子猫の繁殖が防げ、だんだんと数が減っていくことになります。また、手術をすることにより性質がおとなしくなり、行動範囲が狭くなって、発情期の鳴き声やマーキングなども抑えられます。(「ガイドライン」18ページ)
「地域猫活動」における避妊去勢手術には、重要な点が3つあります。「野良猫の捕獲」「獣医師の協力」そして「識別措置」です。
野良猫の捕獲
「ガイドライン」には避妊去勢手術のための野良猫の捕獲について触れられていません。野良猫の捕獲には一定のスキルが必要なため、専門家に任せるべきという考え方かもしれません。ここでは米国のTNR推進団体Alley Cat Alliesのガイドラインを参考に、基本的なことだけを箇条書きにしておきます。
・猫を捕獲する際には、人道的な捕獲器のみを使用する。
・捕獲器は静かな場所に設置する。
・匂いが強い餌で猫を誘引する。
・捕獲前24時間は給餌を控える(給水は控えない)。
・地域を決めて一斉に捕獲することが望ましい。
・捕獲器は放置せず、離れた場所で監視する。
・猫が入ったら速やかに毛布やシーツをかぶせる。
・最後に捕獲器の数を確認する(回収忘れは厳禁)。
・捕獲後は手術場所に安全に輸送する。
すべての猫を一斉に捕獲することは困難ですし、新たな猫が流入することもありますので、野良猫の捕獲は何度も行うことになります。最初は専門家に任せてもよいと思いますが、その際にノウハウを学び、地域住民有志自らが捕獲できるようになるのが理想といえます。
※ https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2202.pdf