「地域猫活動」について考える(9) その後の管理

環境省の「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン(以下「ガイドライン」)」※から、「地域猫活動」について見ています。

 

その後の管理

避妊去勢手術後リターンした地域猫の管理について、「ガイドライン」にはこう記述されています。

 

 世話をしている猫の数、個体識別、健康状態の把握を行います。

 世話をしている猫には首輪、名札などの目印をつけ、他の猫とは区別します。

 感染症予防のため健康状態を把握し、異常を見つけた場合は、活動の代表者や獣医師に報告するなどの処置をします。

 繁殖制限を受けていない猫が入ってきた場合など、個体把握をしていれば対処が早くなります。また、エサ代や不妊去勢手術費など、1年間あたりに必要な資金が計算しやすくなります。(「ガイドライン」18ページ)

 

個体識別の重要性

世話をしている猫の数の把握やそれぞれの猫の健康管理のためには、個体識別が必須です。猫の写真や個体情報、ケアの記録などを記載した「猫台帳」を作成し個体管理を行うことが理想です。「ガイドライン」には「首輪や名札」と書かれていますが、現在では毛色や模様などで識別することが一般的です。そのための個体識別の方法については、改めてご紹介します。

 

一般的な健康管理

地域猫の健康確認は、主に給餌時の目視によって行います。大まかには大きな傷がないか、毛並みが荒れていないかを見ていきます。少し細かく見ていく際には行動に異常がないか、餌を食べているか、鼻や目から分泌物が出ていないか、痩せていないか、脱毛していないか、歩き方は正常か、だるい感じではないかといったことを見ていきます。

 

獣医療ケア

地域猫に健康上の問題が見受けられた場合、まずはかかりつけの獣医師に相談するべきです。野良猫の診療経験が豊富な獣医師であればなお安心です。場合によっては、処置のために捕獲や入院が必要になるかもしれません。またその猫が避妊去勢手術未実施であれば、処置と合わせて手術を実施することもできます。地域猫の診療を低廉で実施してくれる獣医師もいますが、それでもお金がかかるので、資金計画は重要です。

 

予防医療

地域猫に予防医療を定期的に提供することは難しいですが、避妊去勢手術の際に併せて駆虫や混合ワクチン接種を実施することが一般的です。

 

流入猫の把握と処置

外部から避妊去勢手術未実施の猫が流入してくることがあります。その際には早期に発見し、速やかに捕獲・手術を実施すべきです。

 

※ https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2202.pdf