環境省の「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン(以下「ガイドライン」)」※から、「地域猫活動」について見ています。
猫の譲渡(飼い猫化していくために)
猫は長い時間をかけて、家庭動物として改良されてきた動物です。地域猫として野外で生活するよりも、飼い猫として家庭で暮らす方が望ましいのは言うまでもありません。元々野外生活していた猫だからといって、必ず野に置かねばならないということはありません。家庭動物としての適性がある猫は、譲渡先のニーズがあれば積極的に譲渡すべきです。「ガイドライン」にはこう記載されています。
地域猫から飼い猫になった例もあります。
捕獲した猫を新しい飼い主に譲渡する場合には以下のことに注意します。
譲渡を目的とする捕獲は、原則的に、猫に無用な警戒心を与えないために捕獲器の使用は控えます。譲渡先の飼育に問題を生じさせないためにも、継続的なエサやりにより飼い猫に近い状態まで人に慣れさせてから捕獲します。
新しい飼い主へは、地域猫であったことやその習性、留意事項を正しく伝えるとともに、終生飼育・適正飼育のために本ガイドラインを紹介して、適正飼育に関する情報提供を行います。(「ガイドライン」18-19ページ)
「ガイドライン」にはこう記載されていますが、実際にこういうケースはまれでしょう。完全に人馴れするまで、避妊去勢手術を実施しないまま猫を野外で泳がせるというのもどうかと思いますし、捕獲器なしで捕まえることができるような猫は、迷子になった飼い猫の可能性が高いでしょう。経験上、捕獲器に入った猫がたまたま人懐こかったということが多いように思います。
飼い猫の可能性
捕獲器に入った猫が人懐こかった場合、迷子になった飼い猫の可能性をまず考えなくてはなりません。首輪や迷子札がなければ、マイクロチップをスキャンする必要があります。場合によっては、飼い主がいないかどうか、捕獲場所の近隣で聞き込み等を行う必要があります。
保護と馴らし
飼い猫と同等とまではいかなくても、人間と一定の関わりを持ちながら生活し、一定程度人間に慣れている野良猫も存在します。そういった猫を保護し、避妊去勢手術を施し、馴らしたうえで譲渡することもできます。
地域猫からの譲渡
人馴れしていなかった猫でも、地域猫として人間に管理される過程において、次第に人間に慣れてくることも考えられます。そういった猫についても、可能であれば譲渡することが望ましいといえます。その際には新しい飼い主に、元地域猫であることや、これまでどのようなケアを受けてきたかなどについて情報提供するべきです。
※ https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2202.pdf