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野良猫のコロニー管理(5)  教育

TNR(Trap-Neuter-Return)は「飼い主のいない猫」の人道的処遇として実施されますが、リターン後の猫を管理しなければ様々な問題が生じます。リターン後の猫のコロニー管理の重要性について、AVMA(米国獣医師会)の“Free-roaming abandoned and feral cats”※(以下「指針」とする)から見ています。

 

Education(教育)

「飼い主のいない猫」を減らしていくためには、地域住民の協力は不可欠です。そのため住民教育は重要です。「指針」はこう述べています。

 

Public education about the risks posed by free-roaming abandoned and feral cats, prevention through the responsible care of privately owned cats, and various management approaches directed toward existing abandoned and feral cat populations is critical. Specific educational elements include:

自由生活の捨て猫や野良猫が引き起こすリスク、個人で飼われている猫の責任あるケアによる予防、既存の捨て猫や野良猫の個体群に対するさまざまな管理アプローチについての公教育が重要です。具体的な教育要素には次のようなものがあります。

 

なぜ野良猫の管理が必要か

野良猫の管理を施策として実施するには、「それがなぜ必要か」について周知する必要があります。「指針」で示されているのは「野良猫の福祉」と「野良猫が環境や公衆衛生に及ぼす影響」の2点です。

 

野良猫の福祉

The welfare of these cats may be significantly diminished. Their life expectancy is radically reduced due to death from trauma, disease, starvation, and weather extremes. These same factors may also contribute to an overall poor quality of life.

これらの猫の福祉は著しく損なわれる可能性があります。彼らの平均余命は、外傷、病気、飢餓、異常気象による死亡により大幅に短縮されます。これらと同じ要因も、全体的な生活の質の低下に寄与する可能性があります。

 

野良猫が環境や公衆衛生に及ぼす影響

Feline abandonment and feral cat populations adversely affect wildlife, ecosystems, and public health.

捨て猫や野良猫の個体群は、野生動物、生態系、公衆衛生に悪影響を及ぼします。

 

飼い猫の適正飼養

野良猫の数を減らすには、飼い猫を適正に飼養し野良猫化させないことが非常に重要です。そのための教育の具体的内容について「指針」はこう述べています。

 

Responsible care of privately owned cats is an effective preventative. This includes appropriate identification, vaccination, sterilization, and confinement.

個人で飼われている猫を責任を持って世話することは効果的な予防策です。これには、適切な個体識別措置、ワクチン接種、避妊去勢手術、屋内飼育が含まれます。

 

※ https://www.avma.org/resources-tools/avma-policies/free-roaming-abandoned-and-feral-cats#:~:text=Free%2Droaming%20abandoned%20and%20feral%20cats%20that%20are%20not%20in,with%20local%20and%20state%20ordinances.