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野良猫のコロニー管理(9)  コロニー管理について

TNR(Trap-Neuter-Return)は「飼い主のいない猫」の人道的処遇として実施されますが、リターン後の猫を管理しなければ様々な問題が生じます。リターン後の猫のコロニー管理の重要性について、AVMA(米国獣医師会)の“Free-roaming abandoned and feral cats”※(以下「指針」とする)から見ています。

 

コロニー管理の必要性

前述のとおり、AVMAはTNRを無条件に容認しているわけではありませんが、「管理されたコロニー」の存在については容認しています。

 

The AVMA recognizes that managed colonies are controversial. However, properly managed programs can improve quality of life for these cats through better nutrition, vaccination to prevent disease, spaying and neutering to reduce unwanted litters, euthanasia of sick and debilitated cats, and adoption of healthy kittens. The goal of colony management should be continual reduction and eventual elimination of the colony through attrition. Appropriately managed colonies also have the potential to significantly decrease risk to public health, wildlife, and ecosystems.

AVMAは、管理されたコロニーが議論を呼んでいることを認識しています。しかし、適切に管理されたプログラムは、より良い栄養、病気を予防するためのワクチン接種、望まない出産を減らすための避妊去勢手術、病気や衰弱した猫の安楽殺、健康な子猫の譲渡を通じて、これらの猫の生活の質を向上させることができます。コロニー管理の目標は、コロニーを継続的に削減し、最終的には縮小させることによってコロニーをなくすことです。適切に管理されたコロニーは、公衆衛生、野生生物、生態系に対するリスクを大幅に軽減する可能性もあります。

 

「管理された」野良猫のコロニーを野に置くことについては、さまざまな意見があります。特に「猫の福祉」や「生態系や公衆衛生への悪影響」を理由にTNRに反対する意見が多いのも事実です。しかしAVMAはコロニーを管理することによりそれらのリスクを軽減できるとしています。

 

安楽殺が検討される場合

AVMAは野良猫の管理は「非致死的方法」を推奨するとしていますが、コロニーの縮小が実現できず、かつ周辺環境に深刻な悪影響を与えている場合に、野良猫の人道的安楽殺を検討することを否定していません。

 

For colonies not achieving attrition and posing active threats to the area in which they are residing, the AVMA does not oppose the consideration of euthanasia when conducted by qualified personnel, using appropriate humane methods as described in the AVMA Guidelines for the Euthanasia of Animals.

コロニーの縮小が達成されておらず、コロニーが居住する地域に進行形の脅威をもたらしている場合、AVMAは、「動物の安楽殺に関するAVMAガイドライン」に記載されている適切な人道的方法を使用して、有資格者によって安楽殺が行われる場合の安楽殺の検討に反対しません。

 

※ https://www.avma.org/resources-tools/avma-policies/free-roaming-abandoned-and-feral-cats#:~:text=Free%2Droaming%20abandoned%20and%20feral%20cats%20that%20are%20not%20in,with%20local%20and%20state%20ordinances.