猫の保護活動について様々な文献を読んでいると、独特の用語がよく用いられます。米国のTNR推進団体Alley Cat Alliesの“Talking About Cats: Helpful Terms and Definitions”
(https://www.alleycat.org/resources/talking-about-cats-helpful-terms-and-definitions/)を参考に、野良猫関連の用語を整理していきたいと思います。
Community Cat(野良猫)
地域で暮らしている自由生活の猫を、ざっくりと“Community Cat”といいます。直訳すると「地域猫」ですが、日本の「地域猫」とは概念が異なることに注意が必要です。Community Catは「野良猫」または「地域の猫」と訳すことが多いですが、ここでは「野良猫」と訳します。Alley Cat AlliesはCommunity Catをこう定義しています。
An umbrella term that refers to any member of the domestic cat species who lives outside. Community cats can be stray or feral. They are not pet cats and their homes are outdoors. They often live together in groups called colonies.
屋外で暮らすイエネコを指す包括的な用語。野良猫には迷い猫や野猫が含まれる。彼らは飼い猫ではなく、屋外で生活している。彼らはしばしばコロニーと呼ばれる集団で一緒に生活している。
“domestic cat species”とは、動物種としての「イエネコ」(Felis silvestris catus)を指します。飼い猫も野良猫も同じ「イエネコ」という種類の動物です。飼い主のいない自由生活の猫を便宜上「野良猫」と呼んでいるにすぎません。野良猫には「迷い猫」や「野猫」が含まれます。
Stray Cat(迷い猫)
Alley Cat AlliesはStray Cat(迷い猫)をこう定義しています。
A community cat who was socialized to people at some point, but left or lost their indoor home as well as most human contact and dependence. They live outdoors and, over time, can become feral if they do not spend enough time around people. However, stray cats can become adoptable pet cats again if they are given enough human contact and attention.
ある時点で人々との交流があったものの、屋内の住居だけでなく、人間との接触や依存のほとんどを離れたり、失ったりした野良猫。彼らは屋外に生息しており、人間の近くで十分な時間を過ごさなければ、時間の経過とともに野生化する可能性がある。しかし迷い猫は人間との十分な触れ合いや配慮が与えられれば、再び飼い猫になれる可能性がある。
つまり「迷い猫」とは、遺棄や逸走などにより飼い主の元を離れ、野外生活に適応した元飼い猫を指します。迷い猫は元飼い猫のためある程度人馴れしています。そのため、保護やその後の譲渡は比較的容易であるといえます。迷い猫は人間の生活圏でいわゆる“Alley Cat”(路地猫)や“Street Cat”(街猫)として、人間と一定の関係性を保ちながら生活することもありますし、野外生活が長くなるとFeral Cat(野猫)と合流して野生化することもあります。(続く)