猫の保護活動について様々な文献を読んでいると、独特の用語がよく用いられます。米国のTNR推進団体Alley Cat Alliesの“Talking About Cats: Helpful Terms and Definitions”
(https://www.alleycat.org/resources/talking-about-cats-helpful-terms-and-definitions/)を参考に、野良猫関連の用語を整理しています。
Catch and kill(捕獲および殺処分)
Alley Cat Alliesは、野良猫の駆除よりもTNRが有効であると主張します。なお、離島など周辺から隔絶された地域においては野良猫の駆除は有効とされていますが、長い時間と莫大な費用が必要なうえ、人道的な問題がつきまといます。
Authorities remove cats from an area by trapping and killing or relocating them. For decades, this was the most common approach to community cats by local governments and animal control agencies. It is a cruel and ineffective method that only creates a vacuum effect. Trap-Neuter-Return should be implemented instead.
行政当局は猫を捕まえて殺したり、移動させたりして、その地域から猫を排除する。何十年もの間、これは地方自治体や動物管理機関による野良猫に対する最も一般的なアプローチであった。これは真空効果を生み出すだけの残酷で効果のない方法である。代わりにTNRを実施する必要がある。
Vacuum Effect(真空効果)
ある生物種がある環境中に生息する場合、その生物は環境の収容力(capacity of the environment)まで増えようとします。つまり野良猫を何頭か捕獲したとしても、その環境が野良猫にとっての生息適地である限り、流入や繁殖により環境の収容力まで個体数が増えていきます。この現象を猫界隈では“Vacuum Effect”(真空効果)と呼んでいます。Alley Cat Alliesはこう定義しています。
A phenomenon in which the removal of cats from an area opens the area to an eventual influx of new cats, either from neighboring territories or born from any remaining cats. These new cats move in to take advantage of resources like food, and quickly breed back to capacity. The vacuum effect has been scientifically documented in multiple animal species, and is why the catch and kill approach to community cats is pointless and ineffective.
ある地域から猫を駆除した際に、近隣の縄張りから、または残っている猫から生まれた新しい猫が最終的にその地域に流入する現象。これらの新しい猫は、食べ物などの資源を利用するために移動するため、すぐに個体数が元に戻る。真空効果は複数の動物種で科学的に証明されており、野良猫の捕獲および殺処分が無意味で効果的でない理由はここにある。