猫の保護活動について様々な文献を読んでいると、独特の用語がよく用いられます。米国のTNR推進団体Alley Cat Alliesの“Talking About Cats: Helpful Terms and Definitions”
(https://www.alleycat.org/resources/talking-about-cats-helpful-terms-and-definitions/)を参考に、野良猫関連の用語を整理しています。
Eartip(耳カット)
TNRの際に避妊去勢手術を施した野良猫には不要な捕獲や手術を防止するために、それとわかる目印が必要です。その目印として、猫の耳をカットすることが国際標準として広く行われています。欧米で一般的なのは手術済みの猫の耳の先端を切り落とすことで、これをEartipといいます。Alley Cat Alliesはこう解説しています。
The universal identifier of a spayed/neutered and vaccinated community cat. Eartipping is the painless removal of 3/8-inch of a cat’s left ear while the cat is under anesthesia for spay/neuter surgery. Eartips are a visual cue to citizens and animal control officers that a cat has gone through Trap-Neuter-Return and should be left alone.
避妊去勢およびワクチン接種済みの野良猫の共通識別子。耳カットは、猫の避妊去勢手術のために麻酔をかけている間に、猫の左耳の3/8インチを痛みを伴わずに切除することである。耳カットは、猫がTNR済みのため捕獲の必要がないことを市民や動物管理職員に視覚的に知らせる役割を果たす。
Eartipは猫の性別を問わず左耳の先端をカットしますが、米国の西海岸(カリフォルニア州など)では右耳をカットすることもあります。
Ear Notch
猫の耳の先端をカットするのではなく、耳に切り込みを入れることをEar Notchといいます。手術済みの猫の耳に縦や横にV字型の切り込みを入れていきますが、Ear Notchは傷と間違えやすく視認性も悪いとして、欧米では好まれません。逆に日本では猫の耳に縦の切り込みを入れる「さくらカット」が一般的で、耳の先端を切り落とす「ストレートカット」はあまり行われません。V字カットもしっかりと切り込みを入れれば視認性はそんなに悪くはないと個人的には思います。また欧米では猫の性別を問わず「左耳をカット」ですが、日本では「オスは右耳、メスは左耳」が主流で、日本の方が芸が細かいようです。
どちらが良いとか悪いとかいう話ではありませんが、欧米と日本では作法が少し異なるということを知っておいていただきたいと思います。
※Community Catを直訳すると「地域猫」ですが、日本の「地域猫」とは概念が異なるため、ここでは「野良猫」と訳しています。