子猫の死亡リスク管理について考える(4) 調査の方法

Dolanら(2020)の論文“Pre-mortem risk factors for mortality in kittens less than 8 weeks old at a dedicated kitten nursery”※1(子猫の保育所における生後8週齢未満の子猫の死亡率の生前リスク要因)を参考に、保護子猫の死亡リスクについて見ています。

 

子猫のケア

「子猫の保育所」に収容された子猫は、受け入れ時に性別や日齢の検査を受けたのちに、同腹仔ごと、もしくは孤児同士のグループでステンレス製のケージで、専門のスタッフによってケアされました。日々のケアの過程で体重や症状が記録され、必要に応じて処置が行われました。検査や日々のケア、処置の内容などはカルテに記録されました。

 

調査の方法

この研究では、2017年の「子猫の季節」(4~11月)に、8週齢未満で「子猫の保育所」に収容された子猫を調査対象としています。その期間の紙のカルテから、必要なデータを表計算ソフトに入力しました。抽出されたデータは次のとおりです。

 

受け入れ時の情報

・受け入れ日

・性別

・受け入れ時の推定日齢

・受け入れ時の体重

・受け入れ時のボディコンディションスコア(ピュリナBCSの1~9で表記、例えばカルテに3~4と記載されている場合は3.5とする)

 

臨床徴候または診断

以下の臨床徴候または診断について、発症日と回復日を含めて入力しました。

・汎白血球減少症 (確定診断によるものか、臨床症状からの推定によるものかも記載) 

・体重減少 (任意の期間における1グラム以上の減少)

・URI (治療を要するほど重度の上気道症状) 

・食欲不振 (食欲スコア0~1または粉ミルクを0~2 mlしか飲まない)

・下痢 (軟便または下痢便:Purina Fecal Scoring Chart※2の6~7)

・外傷(外傷、損傷、または膿瘍)

これらの症状とその後の死亡または安楽殺との相関について、統計的手法を用いて解析しました。

 

※1 Journal of Feline Medicine and Surgery 2021, Vol. 23(8) 730–737 

https://doi.org/10.1177/1098612X20974960

 

※2 https://www.purinainstitute.com/centresquare/nutritional-and-clinical-assessment/purina-fecal-scoring-chart