子猫の死亡リスク管理について考える(6) 受入れ状況と死亡の関係

Dolanら(2020)の論文“Pre-mortem risk factors for mortality in kittens less than 8 weeks old at a dedicated kitten nursery”※(子猫の保育所における生後8週齢未満の子猫の死亡率の生前リスク要因)を参考に、保護子猫の死亡リスクについて見ています。

 

受け入れ状況と死亡との関係

この研究では、子猫が「子猫の保育所」に受け入れられた状況ごとの死亡の状況についても調査されました。

 

受け入れ時の体重

受け入れ時に計測された体重を3つの段階に分類し、それぞれの死亡の状況が調査されました。

・65~258gの子猫は334頭のうち119頭(35.6%)が死亡

・259~393gの子猫は335頭のうち27頭(8.1%)が死亡

・394~575gの子猫は341頭のうち9頭(2.6%)が死亡

・576~1,202gの子猫は338頭のうち12頭(3.6%)が死亡

・体重不明の子猫は5頭のうち3頭が死亡

 

受け入れ時期

受け入れの時期による死亡の状況についても調査されました。

・早期(4月10日~6月12日)に受け入れた子猫445頭のうち67頭(15.1%)が死亡

・中期(6月13日~8月22日)に受け入れた子猫451頭のうち61頭(13.5%)が死亡

・後期(8月23日~11月12日)に受け入れた子猫457頭のうち42頭(9.2%)が死亡

 

性別

・メスの子猫644頭のうち72頭(11.2%)が死亡

・オスの子猫708頭のうち97頭(13.7%)が死亡

・性別不明の子猫は1頭のうち1頭が死亡

 

受け入れ時の日齢

受け入れ時の日齢は年少(0~20日齢)、年中(21~34日齢)、年長(35~56日齢)に分類され、それぞれの死亡の状況が調査されました。

・年少の子猫376頭のうち118頭(31.4%)が死亡

・年中の子猫423頭のうち29頭(6.9%)が死亡

・年長の子猫554頭のうち23頭(4.2%)が死亡

 

この結果だけからは、20日齢以下で保護された258g以下の子猫が死亡リスクが高いように見えます。子猫の保護に携わっている方にとっては当たり前のことかもしれませんが…。

 

※ Journal of Feline Medicine and Surgery 2021, Vol. 23(8) 730–737 

https://doi.org/10.1177/1098612X20974960