子猫の死亡リスク管理について考える(8) リスク要因の関連性

Dolanら(2020)の論文“Pre-mortem risk factors for mortality in kittens less than 8 weeks old at a dedicated kitten nursery”※1(子猫の保育所における生後8週齢未満の子猫の死亡率の生前リスク要因)を参考に、保護子猫の死亡リスクについて見ています。

 

リスク要因の関連性

ここまで「子猫の保育所」における、猫の症状や受け入れ状況と死亡リスクとの関連について見てきましたが、多変量モデル(multivariable model)を用いると、各要因の関連性を見ることができます。この研究においては、「収容中の体重減少」と「受け入れ時体重」、そして「処置を要するURI(猫かぜ)の有無」と「受け入れ時期」の組み合わせで死亡リスクを計算しています。

 

収容中の体重減少と受け入れ時体重の関係

 

受け入れ時体重が65~258g

収容中の体重減少あり 34倍

収容中の体重減少なし 13倍

 

受け入れ時体重が259~393g

収容中の体重減少あり 4.8倍

収容中の体重減少なし 3.0倍

 

受け入れ時体重が394~575g

収容中の体重減少あり 4.7倍

収容中の体重減少なし 1.4倍

 

受け入れ時体重が576~1,202g

収容中の体重減少あり 9.3倍

収容中の体重減少なし Reference

 

URIの有無と受け入れ時期の関係

 

受け入れ日が4月10日~6月12日

URIあり 0.03倍

URIなし 0.1倍

 

受け入れ日が6月13日~8月12日

URIあり 0.7倍

URIなし 0.3倍

 

受け入れ日が8月13日~11月12日

URIあり 3.8倍

URIなし Reference ※2

 

※1 Journal of Feline Medicine and Surgery 2021, Vol. 23(8) 730–737 

https://doi.org/10.1177/1098612X20974960

 

※2 Reference(基準値)とは簡単に言うと、その要因の有無によるリスクの差がないということです。