「令和5年度動物愛護管理行政事務提要」https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/r05/2_4_1.pdf)を参考に、犬や猫の収容や殺処分をどうやって減らしていくかを考えています。
飼い猫の逸走防止
所有者不明として収容された猫の中には逸走した飼い猫も含まれると考えられますが、飼い犬と比べて返還率が極めて低いのが現状です。その主な原因は前述の「ギャップ仮説」(飼い主が飼い猫の逸走に気づいたときにはすでに処分されている)と考えられますが、そもそも完全屋内飼育の猫であれば逸走にすぐ気づくはずです。根本の原因は猫特有の「ゆるい」飼い方にあると私は考えます。夜間だけ屋内に入れるというのはまだ良い方で、餌付けされた野良猫に限りなく近い「飼い猫」もいます。猫は外飼いが認められているため、さまざまな飼養形態があるのです。私は飼い猫も登録制にして、完全屋内飼育を義務付けるべきと考えます。これで逸走が防げますし、逸走したとしても返還率は格段に上がります。また、ペットを飼う覚悟や知識もないまま「なんとなく」野良猫を拾って飼うような無責任な飼い主も減るでしょう。
「半野良」の猫の扱い
ここで問題になるのは、限りなく野良猫に近いが実質的に「飼われている」、いわゆる「半野良」の猫の扱いです。こういった猫の場合、
・屋内に入れて「飼い猫」として飼育する
・そのまま「野良猫」として管理する
のどちらかを選択する必要があります。つまり「所有者(owner)」なのか、それとも「管理者もしくは世話人(caregiver)」なのかを明確にするわけです。ここを曖昧にしておくと、不適切な飼養形態がずるずると続きます。もしどちらもできないと言われた場合、エサやりを止めて猫を敷地内から追い出すよう指導する自治体が多いと思いますが、そのまま放置することには問題がありますから、私はエサやり者から手数料を徴収して「飼い猫」として引取るという手口を使います。
野良猫の「管理者」の責務
なお「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(平成 14 年環境省告示第 37 号)」では、野良猫の管理者の責務として次のように定められています。
飼い主のいない猫を管理する場合には、不妊去勢手術を施して、周辺地域の住民の十分な理解の下に、給餌及び給水、排せつ物の適正な処理等を行う地域猫対策など、周辺の生活環境及び引取り数の削減に配慮した管理を実施するよう努めること。
とはいえ、野良猫を捕獲して避妊去勢手術を実施するというのは、特に高齢者にとってはハードルが極めて高いです。行政サービスとしてこの一連の作業をサポートできれば良いですが、民間任せなのが現状です。