殺処分数を減らすには(20) 猫(幼齢個体)の対策 その1

「令和5年度動物愛護管理行政事務提要」https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/r05/2_4_1.pdf)を参考に、犬や猫の収容や殺処分をどうやって減らしていくかを考えています。

 

猫(幼齢個体)

令和4年度の全国統計を見ると、

 

飼い猫の引取り数 9,557(うち幼齢個体2,357)

所有者不明猫の引取り数 20,842(うち幼齢個体17,456)

 

幼齢子猫を飼い主から引き取るというパターンもありますが(もちろん母猫の避妊手術が前提ですが)、収容される幼齢子猫の大半が、飼い主のいない猫が産んだ子猫といえます。この数を減らすことが収容数減少、ひいては殺処分数減少につながるであろうことは容易に想像できます。

 

生まれてくる子猫の数を減らす方法

「飼い主のいない猫」が産む子猫の数を減らすための方法は、理論上2つしかありません。つまり

 

・「飼い主のいない猫」の総数を減らす

・「飼い主のいない猫」が子猫を産まないようにする

 

この2つを別の言葉で言い換えると、

 

・「飼い主のいない猫」の総数を減らす→保護して譲渡する

・「飼い主のいない猫」が子猫を産まないようにする→TNR活動(地域猫活動を含む)

 

ということになります。もちろん、このどちらかを実施すればよいというものではなく、両方を実施してはじめて効果が現れる、いわば車の両輪なのです。残念ながら多くの自治体が「飼い主不明の猫」の引取りを原則拒否していますので、なおさらTNR活動の重要性が増しています。なおTNR活動の中には、人馴れした猫を保護し譲渡するという活動も含まれています。

 

子猫の収容を減らす

野良猫の子は野良犬の子のように離乳するまで「泳がせて」から保護するということはなく、「自活不能」なら引取り、「自活可能」であれば引取りを拒否するという流れになります。そのため、幼齢子猫の引取りを減らすという方法は存在せず、生まれてくる子猫の数自体を減らすしかないわけです。なお、自治体に「子猫が敷地内に取り残されている」と相談した場合、現地確認もせずに「離乳後の子猫なら敷地外に追い出してください」と言われることが多いと思いますが、本当に「自活可能」かどうかはその個体を確認しなければわかりません。離乳後であっても「自活不能」と判断される子猫も珍しくはありません。通報があったにもかかわらず確認を怠り「自活不能」の子猫を放置することは、「動物愛護法」第37条第2項(自治体による負傷動物等の収容義務)の規定に抵触するおそれがあるので、自治体担当者は肝に銘じるべきです。