殺処分数を減らすには(22) 猫(幼齢個体)の対策 その3

「令和5年度動物愛護管理行政事務提要」https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/r05/2_4_1.pdf)を参考に、犬や猫の収容や殺処分をどうやって減らしていくかを考えています。

 

離乳前子猫の保護

日本においては1万匹以上の離乳前子猫が自治体に引取られています。子猫が危険な状態に置かれていることを理由に保護されたケースもありますが、多くは猫の習性をよく知らない人がたまたま子猫を発見し、びっくりして保護してしまうというケースです。野生動物保護の世界では「誘拐保護」と揶揄されますが、保護の必要がない幼齢動物を悪気なく「保護」してしまい、かえって生命の危機にさらすといったことは珍しくありません。それと同様なことが野良猫でも起こるわけです。自治体が幼齢子猫を「保護」してしまった人から通報を受けた場合、元の場所に戻すよう指示することが多いと思いますが、野良猫の引取りを原則拒否している日本においてそれが推奨されないことは前述のとおりです。

 

離乳前子猫の引取り

住民によって保護された離乳前子猫の取扱いについては自治体によって異なりますが、通常であれば離乳前子猫の引取りは断らないはずです。その際には

 

・「動物愛護法」第35条第3項の規定に基づき、「所有者不明」の猫として引取る

・「動物愛護法」第36条第2項の規定に基づき、「負傷動物」として収容する

 

のどちらかで対応することになります。両者はどう違うかというと、前者は住民による持ち込み、後者は自治体職員が現場に出向き収容することになります。つまり子猫を保護した人が自治体による引取りを希望する場合、自治体に持ち込むか職員の到着を待つ必要があります。

 

保護は自己責任

しかし第一義的に言えば、子猫を保護するのはその人の意思であり、保護するのであれば最後まで責任を負う覚悟をすべきです。見て見ぬふりをする(実はその方がよい場合もある)自由もあるわけですから。離乳前子猫を保護した場合、直ちに保温のうえ動物病院に連絡し、指示を仰ぐのが正しい対応です。もちろん医療費を負担する覚悟も必要です。多くの人は自治体や動物愛護団体に安直に押し付けようとしますが、他者に引き継ぎたいのであれば、それなりの礼儀と負担が必要です。自治体には「動物愛護法」上の収容義務がありますから、ある程度仕方がない部分がありますが、動物保護団体に対しても「保護団体なのだから保護して当然」といって応分の負担もせずに押し付けてくる人が多いです。子猫を保護することを選んだのですから、「仕事に遅れるから連れていけない」「到着を待てない」「お金がない」などと身勝手なことを言わずに、多少の融通を利かせてほしいなと私は思うのです。