預かりボランティアによる幼齢子猫の社会化 その2

Campbellら(2024)の“Impact of early socialisation in foster care on kitten behaviour”(預かりボランティアによる早期社会化が子猫の行動に与える影響)(https://doi.org/10.1016/j.applanim.2024.106306)から、幼齢子猫の早期社会化について見ています。

 

幼齢子猫を預かりボランティアが育てることについて

幼齢子猫の多くは8週齢まで預かりボランティアに育てられ、避妊去勢手術の後に新しい飼い主に譲渡されます。もちろん、預かりボランティアがそのまま子猫を引取ることもあります。いずれにしても、その子猫は家庭動物として生きていくことになりますから、預かりボランティアの元で適切な社会化が行われるかどうかは極めて重要です。

 

社会化期に子猫が人間と触れ合うことの影響

子猫が2~7週齢の社会化期に人間と良い触れ合いを経験すると、人間への友好度が高まり、人間への恐怖心が減ることがMcCune(1995)※1によって報告されています。またCaseyとBradshaw(2008)※2は、社会化期に人間と良い触れ合いを経験した子猫は、譲渡後新しい飼い主に対して精神的サポートを与えると報告しています。

 

何人と触れ合うか?

Collard(1967)※3は社会化期に1人だけと触れ合った子猫は、5人と触れ合った子猫よりも見知らぬ人への恐怖心が強い一方、遊び行動が増えると報告していますが、預かりボランティア宅におけるさまざまな人間との触れ合いについては詳細に調査されていません。

 

騒音への慣らし

Quimbyら(2021)※4はAAHA/AAFPのガイドラインにおいて、子猫の社会化期にはさまざまな騒音に徐々にさらすことを推奨していますが、預かりボランティア宅における子猫の飼養場所や騒音レベルの違いについては評価されていません。

 

次回からはCampbellら(2024)の報告をもとに、幼齢子猫の預かりボランティアによるケアについて考えていくことにしましょう。

 

※1 McCune, 1995 S. McCune

The impact of paternity and early socialisation on the development of cats’ behaviour to people and novel objects

Appl. Anim. Behav. Sci., 45 (1) (1995), pp. 109-124, 10.1016/0168-1591(95)00603-P

 

※2 Casey and Bradshaw, 2008 R.A. Casey, J.W.S. Bradshaw

The effects of additional socialisation for kittens in a rescue centre on their behaviour and suitability as a pet

Appl. Anim. Behav. Sci., 114 (1) (2008), pp. 196-205, 10.1016/j.applanim.2008.01.003

 

※3 Collard, 1967 R.R. Collard

Fear of strangers and play behavior in kittens with varied social experience

Child Dev., 38 (3) (1967), pp. 877-891, 10.2307/1127265

 

※4 Quimby et al., 2021 J. Quimby, S. Gowland, H.C. Carney, T. DePorter, P. Plummer, J. Westropp

2021 AAHA/AAFP feline life stage guidelines

J. Feline Med. Surg., 23 (3) (2021), pp. 211-233, 10.1177/1098612×21993657