Campbellら(2024)の“Impact of early socialisation in foster care on kitten behaviour”(預かりボランティアによる早期社会化が子猫の行動に与える影響)(https://doi.org/10.1016/j.applanim.2024.106306)から、幼齢子猫の早期社会化について見ています。
この研究の目的
前述のとおり感染症罹患のリスクを考慮すると、幼齢子猫はアニマルシェルターに収容することなく、預かりボランティア(foster)に預けることが推奨されています。しかし子猫の「重要な社会化期」(critical socialisation period)とされる2~7週齢を預かりボランティアの元で過ごすことによる、子猫の行動や健康に与える影響についてはほとんどわかっていません。この研究の目的は、里親に預けられた子猫の属性や管理と、里親が報告した恐怖行動や攻撃行動、医学的な懸念との関連性を探ることにあります。
この研究でわかったこと
この研究の結果を端的に言うと、次のとおりです。
• Kittens housed in quieter social areas was associated with positive behaviour.
より静かな交流場所で飼育された子猫は、好ましい行動をとる傾向があった。
• For kittens, spending some time alone was associated with positive behaviour.
子猫にとって、ひとりで時間を過ごすことは好ましい行動と関連していた。
• Bottle fed and single orphan kittens were no more likely to be fearful or aggressive.
人工乳で育てられた子猫や1頭で保護された子猫は、恐怖心や攻撃性を示す可能性が高くなかった。
• Ringworm treatment was associated with more fearful behaviours in kittens.
皮膚糸状菌症の治療は子猫の恐怖行動の増加と関連していた。
この研究で得られた結論
この研究でから得られた結論について、論文ではこうまとめられています。
Future foster carers should be encouraged to keep kittens in social areas of the house, whilst also ensuring kittens can spend some time alone. If the home is loud, carers should slowly introduce the kitten/s to the louder and busier areas of the house before being housed there all the time. Training of carers to use more positive reinforcement techniques for administering ringworm treatment may benefit kitten behaviour.
預かりボランティアは、子猫を家の交流エリアで飼うように奨励されるべきであるが、同時に子猫が一人で過ごす時間も確保すべきである。家が騒がしい場合は、世話人は子猫を家の中の騒がしく賑やかな場所に徐々に慣れさせてから、ずっとそこに住まわせるべきである。世話人が皮膚糸状菌症の治療を行う際に、より積極的な強化技術を使用するように訓練すると、子猫の行動に良い影響を与える可能性がある。
次回からは、この論文の内容についてもう少し詳しく見ていくことにしましょう。