預かりボランティアによる幼齢子猫の社会化 その4

Campbellら(2024)の“Impact of early socialisation in foster care on kitten behaviour”(預かりボランティアによる早期社会化が子猫の行動に与える影響)(https://doi.org/10.1016/j.applanim.2024.106306)から、幼齢子猫の早期社会化について見ています。

 

研究対象

この研究はRSPCA(“王立”動物虐待防止協会)の豪州シドニーのシェルターが受け入れ、預かりボランティアに預けた体重1kg以下(体重が1kgを超えていれば避妊去勢手術のうえ譲渡が可能)の子猫を対象としています。研究期間は2021年3月~2023年2月の23ヶ月間でした。世話人に対してはこの研究についてあらかじめ説明のうえ、同意を得ています。

 

預かりボランティアへのアンケート

子猫が生後9週齢、1kgに達したら預かりボランティアからシェルターに戻されますが、その際に世話人に対し、オンラインでアンケートが実施されました。アンケートで尋ねた事項は次のとおりです。

 

子猫の管理番号

子猫の管理番号は、シェルターが保有する収容時データと紐づけられました。

 

子猫の保護状況

・同腹仔の有無(同腹仔と一緒に保護されたか、単独で保護された(シングルトン)かについて尋ねています。

※この研究においては、単独で保護されたが他の子猫と一緒に預かりボランティアに預けられた猫は「同腹仔あり」とみなしています)

・人工乳を飲んでいるか

・母猫の有無

 

預かりボランティア宅の家庭環境

・大人や子供との触れ合い

・預かりボランティア宅にいる他のペットと子猫との関わり

・騒音レベル(「おおむね静か(Generally quiet)」「通常の生活音(average noisiness)」「騒々しい(loud)」「非常に騒々しい(or very loud)」の4段階で評価)

・子猫が家の中で一番長い時間過ごす場所とその時間(「交流エリア(social area)」と「非交流エリア(non-social area)」)

※この研究において「交流エリア」とは家の中を自由に移動できる、もしくはリビングルームで放し飼い、またはリビングルームにクレート等の囲いを設置し飼育することを指し、「非交流エリア」とは普段使っていない部屋やガレージなどを指します。