預かりボランティアによる幼齢子猫の社会化 その8

Campbellら(2024)の“Impact of early socialisation in foster care on kitten behaviour”(預かりボランティアによる早期社会化が子猫の行動に与える影響)(https://doi.org/10.1016/j.applanim.2024.106306)から、幼齢子猫の早期社会化について見ています。

 

結果<続き>

 

状況行動スコア

この研究では「(世話人が)部屋に入る」「給餌」「新しい物」「新しい人」「遊び」の5つの状況において、子猫がどのような反応を示したかが調査されました。反応は「友好的な反応」「無反応」「逃避的恐怖行動(後退、隠れる、固まるなど)」「攻撃行動(猫パンチ、シャーシャーと威嚇するなど)」の4種類に分類されました。その結果、

 

(世話人が)部屋に入る…友好的な反応:484頭、無反応:73頭、逃避的恐怖行動:30頭、攻撃行動:1頭、その他:3頭、不明:7頭

 

給餌…友好的な反応:559頭、無反応:26頭、逃避的恐怖行動:5頭、攻撃行動:2頭、その他:2頭、不明:4頭

 

新しい物…友好的な反応:514頭、無反応:47頭、逃避的恐怖行動:20頭、攻撃行動:3頭、その他:6頭、不明:8頭

 

新しい人…友好的な反応:343頭、無反応:101頭、逃避的恐怖行動:81頭、攻撃行動:5頭、その他:58頭、不明:10頭

 

遊び…友好的な反応:555頭、無反応:21頭、逃避的恐怖行動:11頭、攻撃行動:3頭、その他:3頭、不明:5頭

 

合計…友好的な反応:2455件(82.1%)、無反応:268件(9.0%)、逃避的恐怖行動:147件(4.9%)、攻撃行動:14件(0.5 %)、その他:72件、不明:34件

 

この結果から、次の傾向がみられます。

・「給餌」および「遊び」の際に、友好的な反応が発現しやすい

・逃避的恐怖行動の多くは「新しい人」に対するものである

また攻撃行動が14件観察されていますが、これは10頭の子猫によるもので、うち2頭は人工乳で育てられ、9頭はオス、1頭はシングルトン(単独で保護された子猫)でした。

 

総合状況行動スコア

「友好的な反応」と「無反応」を「好ましい反応」、「逃避的恐怖行動」と「攻撃行動」を「好ましくない反応」と定義すると、488頭(82.2 %)の子猫が5つの状況すべてにおいて「好ましい反応」を示しました。一方106頭(17.9 %)の子猫が5つの状況のうち少なくとも1つに対して「好ましくない行動」を示しました。