猫の預かりボランティアガイド(9) 猫と親しくなる その1

アニマルシェルターに収容すべき猫を自宅で預かる、いわゆる「預かりボランティア」(Foster)について、ASPCA(米国動物虐待防止協会)の“Feline Foster Care Guide”(https://www.aspcapro.org/sites/default/files/aspcapro-feline-foster-care-guide.pdf)を参考に見ています。

 

Getting Acquainted(猫と親しくなる)

 

猫を家に慣らす

自宅に猫を受け入れたら、まず家に慣らす必要があります。「ガイド」にはこう記載されています。

 

Being in a new environment is stressful for most cats, and a normal reaction may be to hide. 

新しい環境にいることはほとんどの猫にとってストレスであり、隠れることは通常の反応かもしれない。

 

慣らすための「閉じ込め」

いくつかの論文で指摘されているとおり、自宅で猫を養育する際にはいきなりリビング等に置かず、家の中の静かな場所にしばらく置き、環境に慣れさせる必要があります。このことについて「ガイド」にはこう記載されています。

 

Allow your foster cat time to adjust to your home while being housed in a “safe haven” such as a roomy crate or a separate room. A spare bathroom is ideal since there aren’t hiding spaces and it is easy to disinfect.

広いクレートや別の部屋など「安全な避難所」で飼いながら、養育猫があなたの家に順応する時間を与えること。隠れる場所がなく消毒もしやすいため、予備のユニットバスが理想的である。

 

来客用のユニットバスを備えた家屋というのは日本にはなかなかないでしょうから、広いクレートに入れて別室に置くというのが現実的でしょう。なお「ガイド」では預かった猫は屋内で放し飼いにすることが前提とされていますが、慣らしの期間については特定の部屋やクレートに閉じ込めておくことになります。慣れていない猫を部屋に閉じ込める際には“Block off small areas where the cat may try to hide and get stuck.”(猫が隠れて動けなくなりそうな狭い場所をふさぐこと)などの安全対策が必要です。

 

「閉じ込め」場所に猫を入れる

部屋や大型クレートに猫を入れる際には、キャリーケースの扉を開き、そのまま隠れ家としてその場に設置します。その際に猫がすぐに出てくることはまれです。「ガイド」にはこう記載されています。

 

Open up your cat carrier and let the cat decide whether she wants to explore or wants to remain in the carrier. Many times a cat will remain in her carrier for hours.

猫用キャリーケースを開き、猫が探索したいか、キャリーケースに留まりたいのかを猫に選択させる。多くの場合、猫は何時間もキャリーケースに留まる。

(続く)