猫の預かりボランティアガイド(45) 健康上の懸念 その2

アニマルシェルターに収容すべき猫を自宅で預かる、いわゆる「預かりボランティア」(Foster)について、ASPCA(米国動物虐待防止協会)の“Feline Foster Care Guide”(https://www.aspcapro.org/sites/default/files/aspcapro-feline-foster-care-guide.pdf)を参考に見ています。

 

Medical Information & Concerns(医療情報と懸念)

「ガイド」には、子猫に多い健康上の懸念について個別に記されています。

 

Upper Respiratory Infections (URI)(上気道感染症)

最初はいわゆる「猫かぜ」です。「猫かぜ」は子猫に最も多い疾患であるといっても過言ではありません。「猫かぜ」のポイントは

 

・野良猫の多くは原因菌やウイルスを保有しており、ストレスなどにより発症する

・感染力が非常に強いので、感染した猫の隔離が重要

 

の2点です。実は子猫をシェルターに入れずボランティアに預けることは、この2つのリスクを回避することにつながります。シェルターへの収容よりも家庭環境にいた方がストレスが少ないですし、不特定多数の猫と接触する可能性も低いからです。このことを体感的に経験している人も多いでしょう。例えば猫かぜ気味の子猫を譲渡し、家庭環境に置いたら症状が改善したといったことは珍しくありません。逆に、猫かぜに罹患した子猫に対してシェルター内で処置を行う(悪く言えば弄り回す)ことにより、かえって悪化させてしまったという事例もあります。「ガイド」にはこう記載されています。

 

Viral and bacterial respiratory infections are very common in cats, especially young or stressed ones. Symptoms include clear to colored discharge from eyes and/or nose, loss of appetite, depression, congestion, sneezing, coughing, fever, etc.

ウイルス性および細菌性呼吸器感染症は、猫、特に若い猫やストレスのある猫に非常によく見られる。症状には、目や鼻からの透明から着色された分泌物、食欲不振、沈うつ、充血、くしゃみ、咳、発熱などがある。

 

Wash your hands thoroughly after handling an animal with visible URI symptoms and before contact with any other cats as URI is extremely contagious. URI is similar to a human cold, but is generally not transmittable to people or other animal species except for cats. Any cat showing signs of an upper respiratory infection should be isolated from other cats in the household.

URIは非常に伝染性が高いため、URIの症状が見られる動物を扱った後、他の猫と接触する前に、手をよく洗うこと。URIは人間の風邪に似ているが、一般的に人や猫以外の動物種に感染することはない。上気道感染症の兆候を示している猫は、家庭内の他の猫から隔離する必要がある。