アニマルシェルターの衛生対策(3) シェルターにおける衛生対策、洗浄、そして消毒

アニマルシェルターはさまざまな出自の動物が集まる場です。そのため、感染症蔓延のリスクが非常に高い場所であるといえます。感染症簿蔓延防止のためには、施設の衛生管理が重要です。シェルターの衛生管理について、ASPCA(米国動物虐待防止協会)のホームページを参考に見ています。

 

Sanitation for Disease Prevention in Animal Shelters(アニマルシェルターにおける疾病予防のための衛生対策)

前回までは、シェルターの衛生対策の3つの肝、すなわち「漂白剤」「手洗い」「洗濯」について触れてきましたが、ASPCAのホームページ“Sanitation for Disease Prevention in Animal Shelters”(https://www.aspcapro.org/resource/sanitation-disease-prevention-animal-shelters)を参考にもう少し詳しく見ていきたいと思います。

 

衛生対策とは

“Sanitation”とは、洗浄または清掃(Cleaning)から消毒(Disinfecting)に至る一連の流れによって、何かを衛生的な状態にすることをいいます。“Sanitation”を表現する的確な日本語が見つからないので、ここでは“Sanitation”を「衛生対策」と訳すことにします。なお“Sanitation”とは「公共の」衛生を指し、個人衛生(手指衛生など)は“Hygiene”といいます。

 

シェルターにおける衛生対策の必要性

シェルターにおいて衛生対策がなぜ重要か、ここでは次があげられています。

 

・keeping individual animals healthy(個々の動物の健康を維持する)

・preventing disease outbreaks(疾病の集団発生を防止する)

・protects humans from infectious diseases(人間を感染症から守る)

・helps create a welcoming environment that encourages the public to visit and adopt animals(人々がシェルターを訪れ、動物を譲り受けたくなるような歓迎的な環境を創出する)

 

衛生マニュアルの策定

スタッフやボランティアが確実にシェルターの衛生対策を実行するためには、衛生マニュアル(Sanitation protocols)が必要です。マニュアルには適切な薬剤の選択(ensuring appropriate product selection)や一連の衛生手順(consistent sanitation procedures)が示されています。

 

洗浄(清掃)とは

ここでいう“Cleaning”には、洗剤と水を用いて汚れを落とすこと(洗浄)に加えて、手作業で有機物(糞便や尿、粘液など)を除去すること(清掃)も含まれます。ここではまとめて「洗浄」と訳すことにします。

 

消毒とは

消毒(Disinfecting)とは薬物を用いて、洗浄後に残っている病原体を不活性化させることを指します。消毒の後に表面を乾燥させたら、衛生対策の一連の流れは完了です。