アニマルシェルターの衛生対策(7) 消毒剤の希釈

アニマルシェルターはさまざまな出自の動物が集まる場です。そのため、感染症蔓延のリスクが非常に高い場所であるといえます。感染症簿蔓延防止のためには、施設の衛生管理が重要です。シェルターの衛生管理について、ASPCA(米国動物虐待防止協会)のホームページ“Sanitation for Disease Prevention in Animal Shelters”(https://www.aspcapro.org/resource/sanitation-disease-prevention-animal-shelters)を参考に見ています。

 

Dilution of Disinfectant(消毒剤の希釈)

消毒剤は、濃度が高いほど効果が高いというものではありません。そればかりか、人や動物に毒性を示すことすらあります。かといって濃度が低すぎると効かないということになりますので、消毒剤は適切な濃度で使用する必要があり、希釈する際には正確な計量が必要です。

 

消毒薬の希釈方法

殺菌効果を示す有効成分の含有量は製品によって異なるため、使用する際には製品の説明書に従って希釈します。自動的に希望の希釈率に希釈してくれる「自動希釈装置」(Automatic mixing stations)が用意されている消毒剤もあります。

多くのシェルターで伝統的に用いられている塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)は、希釈後直射日光を避けて速やかに使用する必要があります。加速化過酸化水素などの新しい消毒剤は希釈後比較的安定で日持ちするものが多いですが、製品説明書に記載された使用期限を遵守する必要があります。

 

消毒剤の濃度調整

消毒剤の中には、複数の希釈率が指示されているものがあります。つまり、汚染がひどい場合は濃いめに、一般の消毒の際には薄めにといった具合です。シェルターでは一般的に、例えばパルボウイルスなど重大な病原体に汚染されている可能性が高い場合や、診察室や処置室など病気の動物が出入りする場所は消毒剤の濃度を高めに、その他の場所は低めの濃度の消毒剤が用いられます。この考え方は塩素系漂白剤も加速化過酸化水素も同じです。

例えば塩素系漂白剤を用いる際には、3つの濃度を使い分けることが多いです。つまり、

 

・明らかに汚れている箇所の消毒→0.1%

・器具等の消毒→0.05%

・一般的な清掃→0.02%

(いずれも濃度は次亜塩素酸ナトリウムとして)

 

製品によって次亜塩素酸ナトリウムの含有量が異なりますので、それぞれの製品の具体的な希釈方法については、メーカーのホームページ等で確認する必要があります。