アニマルシェルターはさまざまな出自の動物が集まる場です。そのため、感染症蔓延のリスクが非常に高い場所であるといえます。感染症簿蔓延防止のためには、施設の衛生管理が重要です。シェルターの衛生管理について、ASPCA(米国動物虐待防止協会)のホームページ“Sanitation for Disease Prevention in Animal Shelters”(https://www.aspcapro.org/resource/sanitation-disease-prevention-animal-shelters)を参考に見ています。
Instructions for Staff and Volunteers(スタッフやボランティアへの指示)
動物の飼養場所の清掃や消毒の手順については、手順書や口頭指導などによりスタッフやボランティアに周知する必要があります。スタッフ等は少なくとも次のことを理解しておく必要があります。
・How to accurately dilute disinfectant and when newly diluted product needs to be made(消毒剤の正確な希釈方法と交換時期)
前述のとおり、消毒剤は適切な濃度で使用しなければならず、そのためには正確な希釈が必要です。消毒剤の有効成分の濃度は製品ごとに異なりますので、シェルターで使用する製品について提示するとよいでしょう。また希釈後の消毒剤の保存性も製品によって異なりますので注意が必要です。
・What needs to be sanitized(消毒が必要なもの)
どの物品や区画などに消毒が必要かを把握しておく必要があります。
・Which products to use and how to use them(どの製品を、どのように使用するか)
シェルターで使用する洗浄剤や殺菌剤の基本的な使用方法や使用上の注意は知っておくべきです。
・What PPE to wear in each ward(各区画で着用すべきPPE)
作業の際に着用すべきPPE(個人防護具)については、その区画の汚染度によって異なります。
・Removal of organic material, newspapers, bedding, and other items in kennel(犬舎内の有機物、新聞紙、寝具、その他の物の除去)
犬舎やケージ内の清掃手順、特に物品の交換や洗浄についても指示が必要です。
ラミネートコピーの活用
手順書を全スタッフ等に配布したとしても、全部を覚えることはなかなか難しいでしょう。工場などでも一般的に用いられている手法ですが、手順書を実際に作業実施場所の壁に貼っておくと、手順書を確認しながら作業を実施できます。洗浄や消毒を行う場所は水を使うことが多いため、ラミネート加工しておくとよいでしょう。
手順書の見直し
手順書の内容については、現場の声を聴きながら定期的に見直す必要があります。また使用する機材や薬剤が変更になった場合も、手順書の見直しが必要です。