アニマルシェルターの衛生対策(12) ディープクリーニングの手順

アニマルシェルターはさまざまな出自の動物が集まる場です。そのため、感染症蔓延のリスクが非常に高い場所であるといえます。感染症簿蔓延防止のためには、施設の衛生管理が重要です。シェルターの衛生管理について、ASPCA(米国動物虐待防止協会)のホームページ“Sanitation for Disease Prevention in Animal Shelters”(https://www.aspcapro.org/resource/sanitation-disease-prevention-animal-shelters)を参考に見ています。

 

The steps for deep cleaning a kennel include:(ディープクリーニングの手順)

ディープクリーニングは一般的な洗浄消毒と同様、「洗浄→消毒→乾燥」の手順で実施します。すなわち、

 

洗浄

・Use of detergent to clean/scrub organic material on kennel followed with rinse.

洗剤を使用して犬舎の有機物を洗浄/こすり落とし、その後すすぐ。

 

消毒

・Application of disinfectant with appropriate contact time, to be wiped dry or rinsed and then dried according to product instructions.

適切な接触時間で消毒剤を塗布し、製品の説明に従って拭き取るか、すすいでから乾燥させる。

 

乾燥

・Complete drying of the enclosure before an animal returns to it. 

動物を戻す前に、飼育場所を完全に乾燥させる。

 

洗浄力のある消毒剤の使用

加速化過酸化水素のように、洗浄効果と消毒効果の両方を兼ね備えた※製品もあり、「洗浄と消毒が同時にできる」と謳われています。しかしそれは照明スイッチやドアノブといった手が触れる場所の日常的な清掃や床の清掃の場合であって、血液や体液が付着している可能性があるケージ等のディープクリーニングの際には、たとえ同じ製品を用いる場合であっても洗浄と消毒は別工程で実施しなければなりません。例えばある加速化過酸化水素製剤の使用説明書にはこう記載されています。

 

・血液や体液がこぼれた場所の洗浄と除菌

1:適切な保護具を着用し、吸水性のある素材で血液や体液を吸収させる

2:希釈液を含ませたペーパータオル等で表面を拭き、新しいペーパータオル等で拭きとる

3:希釈液を表面に塗布し5分間濡れたままにしてかから乾いたペーパータオル等で拭きとる

 

<注>加速化過酸化水素は米国では次亜塩素酸ナトリウムと同じ「中水準」消毒剤として認可されていますが、日本では消毒剤として認可されていないため、あくまでも「洗浄剤」としての扱いになります。