アニマルシェルターの衛生対策(14) 物品などの洗浄消毒

アニマルシェルターはさまざまな出自の動物が集まる場です。そのため、感染症蔓延のリスクが非常に高い場所であるといえます。感染症簿蔓延防止のためには、施設の衛生管理が重要です。シェルターの衛生管理について、ASPCA(米国動物虐待防止協会)のホームページ“Sanitation for Disease Prevention in Animal Shelters”(https://www.aspcapro.org/resource/sanitation-disease-prevention-animal-shelters)を参考に見ています。

 

物品などの洗浄消毒

 

Food/Water Bowls and Litter Pans(フードボウル、ウォーターボウル、トイレ)

食器類は自動食器洗浄乾燥機を用いることにより、ほとんどの病原菌を除去することができます。ただしエンベロープを持たないウイルス(パルボウイルスなど)など、一部の病原菌は除去できない場合があります。それらの懸念がある場合は、洗浄後に消毒剤を塗布し流水で十分にすすぐ必要があります。

自動食器洗浄乾燥機がない場合は、食器類をまず食器用洗剤で徹底的に洗浄し、流水ですすいでから消毒剤を塗布し、一定時間置いたのちに流水ですすぎます。二次汚染防止のため、食器類とトイレ用トレーは別の場所もしくは別の時間に洗浄消毒する必要があります。破損したり傷がついた物品は消毒が困難なため、廃棄する必要があります。

 

Laundry(洗濯)

寝具、毛布、タオルなどの布製品を洗濯する場合は、洗濯機に入れる前にあらかじめ有機物(糞便、吐物など)を除去しておく必要があります。洗濯の際には衣類用洗剤と漂白剤を併用します。洗濯機に洗濯物を入れすぎないよう注意が必要です。洗濯後の布製品は完全に乾燥させることが必要です。可能であれば、衣類用乾燥機で高温乾燥することが理想です。汚れがひどかったり、病原体に汚染されている可能性がある場合には廃棄することも必要です。

 

シェルター敷地内の衛生管理

 

Outdoor Areas(屋外エリア)

運動場や訓練場といった屋外エリアの地面には芝生や土、砂利等が敷かれているため、消毒が困難です。糞便をできるだけ速やかに除去するなど、できることには限界があります。そのため、屋外エリアにおける感染症対策は、そこを利用する動物を「見た目が健康」で「適切なワクチン接種と駆虫を実施している」に限定することが有効です。そのうえで、定期的に土や砂利を入れ替えるといった対策を取るとよいでしょう。

病原体は湿った場所を好みますし、蚊の発生源にもなるため、シェルターの敷地内には水たまりがあってはなりません。

(連載終わり)