猫の集合飼育部屋の衛生対策(7) 洗浄消毒 その2

アニマルシェルターにおける猫の集合飼育部屋の衛生対策について、ASPCA(米国動物虐待防止協会)のホームページ“Sanitation for Group Cat Rooms”(https://www.aspcapro.org/resource/sanitation-group-cat-rooms)を参考に見ています。

 

Group Cat Room Cleaning and Disinfection Protocol(猫の集合飼育部屋の清掃と消毒の手順)<続き>

猫の飼育場所の洗浄消毒も、基本的な考え方は物品の洗浄消毒と同じです。つまり洗浄→消毒→乾燥といった手順で実施されます。具体的な手順について、ホームページでは次のように示されています。

 

1 猫の移動

Remove cats from the room, using clean or assigned transport carriers or other suitable temporary housing.

清潔な、または指定された輸送キャリー、またはその他の適切な一時的な収容場所を使用して、猫を部屋から移動させます。

 

【のらぬこの補足】

日々のスポットクリーニングは飼育部屋に猫を入れたまま実施しますが、洗浄消毒の際には猫を部屋の外に出す必要があります。専用の退避部屋があれば良いですが、一般的なシェルターには通常そのような余裕はないでしょうから、多くの場合キャリーケースに一時退避させることになります。感染症予防の観点から、キャリーケースは使用の都度洗浄消毒するか、特定の猫専用のものを用いる必要があります。あるシェルターでは、猫の個体ごとに安価なキャリーケースを用意し、一時退避のために使用するとともに、譲渡の際にはそのキャリーケースに入れて渡すという工夫を行っています。

 

2 物品の除去

Remove all litter boxes, room furnishings, toys, and food and water bowls and place in designated area for disposal or cleaning and disinfection as appropriate. 

トイレボックス、室内の家具、おもちゃ、餌や水を入れるボウルをすべて取り除き、必要に応じて廃棄または洗浄消毒を行うために指定された場所に置いてください。

 

【のらぬこの補足】

集合飼育部屋は比較的大規模なため、洗浄消毒の際には洗浄剤や消毒剤を壁や床に吹き付けます。そのため清掃の前に、飼育室内の物品をすべて除去します。物品は①清掃後にそのまま戻す②洗浄消毒してから戻す③廃棄する のいずれかになりますが、②③の場合それは「汚い」物品ですので、汚染を広げないよう適切に取り扱う必要があります。(続く)