アニマルシェルターにおける感染症の蔓延防止のためには飼育場所の洗浄消毒が重要ですが、加速化過酸化水素などの「新しい」消毒剤は高性能である一方、比較的高価で販売場所も限られています。高性能の消毒剤をできるだけ節約して使用する方法について、ASPCA(米国動物虐待防止協会)のホームページ“Do’s and Don’ts for Extending and Replacing Disinfectants”(https://www.aspcapro.org/resource/dos-and-donts-extending-and-replacing-disinfectants)を参考に見ていきましょう。
Do’s and Don’ts for Extending and Replacing Disinfectants(消毒剤の使用期間の延長と交換に関する注意事項)
DO: Conserve and extend your disinfectant supply(すべきこと: 消毒剤の備蓄を節約し、増やす)
消毒剤を節約する方法として、ここでは次の5つがあげられています。
1. Spot clean(部分洗い)
2. Use commercial dish soap or another detergent for the cleaning step(洗浄工程には洗剤を用いる)
3. Strategically decrease the concentration of your disinfectant(消毒剤の濃度を戦略的に下げる)
4. Substitute your regular disinfectant(いつもの消毒剤を代用する)
5. Use our sanitation decision tree to help decide your best course of action(決定木の使用)
以下、それぞれについて見ていくことにしましょう。
1. Spot clean(部分洗い)
In order to conserve supplies, reduce animal handling, and enhance operational efficiency, spot cleaning is recommended any time an enclosure is not visibly dirty or contaminated and the same animal will continue to be housed in the enclosure.
物資を節約し、動物の取り扱いを減らし、作業効率を高めるために、囲いが目に見えて汚れていない、または汚染されていない場合、そして同じ動物が囲いの中に引き続き収容される場合には、スポットクリーニングを行うことをお勧めします。
【のらぬこの補足】
飼育囲いの中を毎日全力で洗浄消毒するのは良いことであると思われるかもしれませんが、不必要な洗浄消毒には人手がかかるだけではなく、洗剤や消毒剤の無駄遣いにもなります。また洗浄消毒の際には動物を囲いの中から出す必要がありますので、その際の取り扱いによって動物にストレスを与える可能性もあります。シェルターメディスンにおいては、日々の清掃をスポットクリーニング(汚れた部分だけを拭きとる簡易清掃)にすることが推奨されています。