譲渡困難な犬や猫の譲渡促進活動(5) ソーシャルメディア

「譲渡困難」とされる犬や猫の譲渡促進のための宣伝活動(Promotion)について、ASPCA(米国動物虐待防止協会)のハンドブック“Adoption Promotions for Harder-to-Place Dogs & Cats”(https://www.aspcapro.org/sites/default/files/2022-03/aspca-adoption-marketing-handbook_0_1.pdf )を参考に見ています。

 

Social Media(ソーシャルメディア)

 

Organic FB, Twitter, IG Photo & Video Posts(Facebook、Twitter、Instagramへの写真や動画のオーガニック投稿)

 

「オーガニック投稿」とは、広告を使用せず(つまり無料で)コンテンツを配信することをいいます。要するに、FacebookやX(旧Twitter)、Instagramに普通に投稿するということです。「ハンドブック」では次のようなコツが記載されています。

 

・Include both feed and story shares with a call to action to adopt the animal.

フィードとストーリーの共有の両方に、動物の譲渡のための行動喚起(CTA)を含めます。

 

・Consider using before/after photos for animals who have made a remarkable medical recovery or tying the promo to a specific pop culture event or holiday.

・目覚ましい回復を遂げた動物のビフォー/アフターの写真を使ったり、特定のポップカルチャーのイベントや祝日にプロモーションを結びつけたりすることも検討しましょう。

 

なおCTAとは譲渡申込みのボタンやリンクなど、譲渡行動に直接つながるようなWeb上の「仕掛け」をいいます。

 

Foster Friday Social Media Series(週刊譲渡情報)

譲渡の呼び掛けやボランティアに預けている動物に関する特集記事を、週1回SNSに投稿します。ここでは「金曜日」とされていますが、動物を譲り受けたいという人がアニマルシェルター等を訪れるのは週末が多いため、金曜日の投稿が効果的ということだと考えられます。

 

Memes(ネットミーム)

“meme”とはリチャード・ドーキンスの造語で、非常に簡単に言えば、人の脳から脳に伝わり遺伝子のように進化する文化情報のことをいいます(興味のある方は『利己的な遺伝子』を読んでみてください)。それが転じて、改変されながら拡散され続ける写真や動画、アスキーアートなどの「ネタ」コンテンツが「(インター)ネットミーム」と呼ばれています。日本ではポップカルチャーのイメージが強いネットミームですが、欧米ではWebマーケティングの手法として企業や政治家などにも用いられています。「ガイドブック」では譲渡対象の動物を用いたネタコンテンツを制作して拡散させることや、流行しているネットミームに譲渡対象の動物の情報を入れ込む形で改変することが想定されています。(続く)