「譲渡困難」とされる犬や猫の譲渡促進のための宣伝活動(Promotion)について、ASPCA(米国動物虐待防止協会)のハンドブック“Adoption Promotions for Harder-to-Place Dogs & Cats”(https://www.aspcapro.org/sites/default/files/2022-03/aspca-adoption-marketing-handbook_0_1.pdf )を参考に見ています。
Social Media(ソーシャルメディア)<続き>
Organic FB Live(Facebookのオーガニックライブ配信)
日本では生配信といえばYouTubeですが、米国ではFacebookがよく用いられます。「オーガニック」とは「無料」の意味で、広告料を支払うことなく通常の投稿を行うことです。Facebookで生配信を行い、そこには譲渡行動につながるCTA(申込みボタンやリンクなど、具体的行動に直接つながるようなWeb上の「仕掛け」)を含めます。動物ごとにテーマを設けて差別化しながら紹介する動画や、TV番組でよく用いられる「カンペ」のようなものを見せながら進行する“cue-card video”といったクリエイティブな手法が有効です。
Social Media Takeover(ソーシャルメディアジャック)
ソーシャルメディアのアカウントを1日だけその動物に割り当て、“take over”(乗っ取り)させる手法です。そのアカウントでひたすらその動物の譲渡を呼びかけます。
TikTok Feature(TikTokにおける特集動画)
TikTokにはショート動画が気軽に投稿できるため、動物の特徴を強調したショート動画や劇的なビフォーアフター動画でインパクトを与え、譲渡を呼びかけることができます。SNSマーケティングの観点からいうと、「大人」に訴求するにはFacebookが、「若者」に訴求するにはTikTokが有効といわれています。
Paid Social Media Ads(有料のソーシャルメディア広告)
“paid”は“organic”の反対語で「有料」の意味です。ここまではソーシャルメディアへの無料投稿について述べられていましたが、どうしても譲渡が困難な動物については有料広告も検討しなければなりません。有料広告により動物の認知度を効率的に高めたり、譲渡できそうな属性の人をターゲットにした広告を打つことも可能になります。ただしお金がかかるため、非営利団体としては最後の手段といえるでしょう。必要に応じて支援者から少額の寄付を募ることも検討すべきでしょう。
Traditional Media(従来のメディア)
Media Outreach(メディアへの働きかけ)
日本ではしばしば「オールドメディア」と揶揄されますが、テレビ、ラジオ、新聞といった「伝統的」なメディアに記事として取り上げられれば、無料で譲渡を呼びかけることができます。そのためにはメディアにとって魅力的な「物語」をメディアに送付、または記者に売り込むことが必要です。